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BMJ誌から
静脈血栓塞栓症への抗凝固薬、3カ月で中止しても再発リスク上がらず
7件の無作為化試験のプール分析で投与期間ごとのリスクを比較

 急性期の治療を終えた静脈血栓塞栓症患者には、その後数カ月間、経口抗凝固薬ビタミンK拮抗薬)が投与されるが、投与期間は患者の意向と担当医の判断にゆだねられている。フランスHospices Civils de LyonのFlorent Boutitie氏らは、7件の無作為化試験の患者データを分析し、再発リスクに差がない最短の投与期間は3カ月であることを、BMJ誌2011年6月11日号に報告した。

 抗凝固薬の投与期間と治療の利益/リスクの関係を調べた無作為化試験は、これまでに複数行われている。それらの結果は、静脈血栓塞栓症患者への抗凝固薬の投与を1~1.5カ月で中止すると、3~6カ月投与した場合に比べ、その後の再発リスクが上昇することを示している。だが、残念ながら、抗凝固薬の最適な投与期間は明らかになっていない。

 著者らは、抗凝固薬の投与期間と初回の静脈血栓塞栓症の臨床像が、投与中止後の再発リスクにどのような影響を与えるかを調べ、リスクがが最も低くなる最短の投与期間を明らかにしようと考えた。

 7件の無作為化試験に登録された個々の患者のデータをプール解析した。それらの試験には、大学病院の外来で初めて静脈血栓塞栓症と診断され、抗凝固薬が投与された2925人(平均年齢60.5歳、52%が男性)の患者が登録されていた。血栓が認められた部位によって患者を分類したところ、肺塞栓が29%、近位静脈血栓症(肺塞栓の症状なし)が52%、単発の遠位静脈血栓症(肺塞栓の症状なし)が20%だった。

 初回の血栓塞栓症が、外科手術、下肢のギプス固定、入院などの危険因子による誘発性と見なされたケースは全体の40%で、残りは非誘発性と考えられた。

 抗凝固薬の投与期間は、1.0カ月または1.5カ月が25%、3カ月が36%、6カ月が27%、12カ月または27カ月が12%だった。

 主要アウトカム評価指標は、抗凝固薬投与終了後24カ月間の静脈血栓塞栓症の初回再発に設定、Cox比例ハザード回帰モデルを用いてリスクを推定した。

 4023人・年の追跡(患者1人当たりの平均にすると1.4年)で312件の初回再発が報告されていた。100人・年当たりの再発率は7.8(95%信頼区間6.9-8.7)、治療終了から6カ月間では12.2(10.5-14.2)、7カ月目から24カ月後までは5.5(4.7-6.5)だった。

 抗凝固薬投与を1.0カ月または1.5カ月で中止した患者では、3カ月以上継続した患者に比べ、再発が起こりやすかった(ハザード比1.52、1.14-2.02、P=0.004)。一方、3カ月で中止した患者と、6カ月以上継続した患者との比較では、有意差は見られなかった(ハザード比1.19、0.86-1.65、P=0.29)。

 3カ月投与群の再発リスクを1として、各群の再発のハザード比を求めたところ、1.0カ月または1.5カ月群では1.28(0.82-2.01、P=0.28)、6カ月投与群は0.80(0.51-1.25、P=0.33)、12カ月または27カ月群では0.88(0.57-1.36、P=0.56)となり、いずれも有意差はみられなかった。

 初回イベントが誘発性だった患者の再発リスクは、非誘発性だった患者の約半分だった(ハザード比0.55、0.41-0.74、P<0.0001)。両群の再発リスクは、最初の6カ月間(0.49、0.32-0.75、P=0.009)と7~24カ月間(0.62、0.41-0.94、P=0.024)のいずれにおいても有意差を示した。この現象は、抗凝固薬の投与期間や、血栓が形成された場所にかかわらず見られた。

 初回の静脈血栓塞栓症が誘発性だった患者の、治療終了から24カ月間の再発リスクについては、投与期間による有意な差はなかった。しかし、最初の6カ月間の再発リスクには明らかな差が認められた。投与期間が3カ月以上だったグループに比べ、1.0カ月または1.5カ月だった患者のハザード比は2.89(1.25-6.69、P=0.013)と有意に高かった。一方、6カ月群と比較した3カ月群のハザード比は0.34(0.10-1.12)で、差は有意にならなかった。

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