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BMJ誌から
1年以上の慢性腰痛には手術の前にリハビリを

 慢性腰痛には外科的治療と非外科的治療のどちらが好ましいのか。この疑問に基づき、円板プロテーゼを用いた椎間板置換術と総合的リハビリテーションの有効性と安全性を比較した無作為化試験の結果が、BMJ誌2011年6月4日号に報告された。2年後の評価では、主要エンドポイントを含む複数の評価指標において、外科的治療の方が良好であることが示されたが、両群間の差は臨床的に意義があると言い切れるレベルにはなかった。著者であるノルウェーOslo大学のChristian Hellum氏らは、「外科的治療のリスクを考えると、最初にリハビリを実施し、改善が見られない患者に外科的治療を適用すべきではないか」との考えを示している。

 1年以上腰痛が持続し、身体活動に障害がある患者でも、その後1年間で約3分の1は症状が軽快する、という報告がある。深刻な状態が持続する患者については外科的治療が勧められてきたが、リハビリテーションのような非外科的治療との間で有効性と安全性を比較した無作為化試験では、一貫した結果は得られていない。

 現在、外科的治療として主に行われているのは、プロテーゼ挿入術と腰椎固定術だ。これらを比較した無作為化試験では、プロテーゼ挿入術の臨床転帰は固定術と同等以上であることが示されている。

 今回著者らは、慢性腰痛患者を対象に、円板プロテーゼ挿入術と、認知療法と運動を組み合わせた総合的なリハビリプログラムを比較する無作為化試験を行った。

 ノルウェーの大学病院5施設で、慢性腰痛患者173人を登録。組み入れ条件は、25歳から55歳で、1年以上の腰痛歴を有し、理学療法またはカイロプラクティック治療を半年以上受けているが十分な効果は見られず、Oswestry障害指標のスコアが30以上(スコアは1~100で、数字が大きいほど痛みと障害は深刻)、下部腰椎椎間板の1~2カ所に変性が認められる患者とした。これらの患者を、手術(86人)または非外科的治療(87人)に無作為に割り付け、04年4月から07年9月に治療を行った。

 手術群には、2つの金属製の端板とそれらに挟まれた超高分子量ポリエチレン製のコアからなるプロテーゼを適用した。

 非外科治療群には、割り付けから3~5週の間に総合的リハビリを外来で実施した。認知療法と運動を合わせたBrox氏らの方法(Spine 2003;28:1913-21.)をベースに、様々な分野の専門家が協力し、6~10人ごとの患者群を対象に、標準化された方法で講義、指導やリハビリを約60時間行った。フォローアップは6週後、3カ月後、6カ月後、1年後に実施した。

 主要アウトカム評価指標は、割り付けから2年の時点のOswestry障害指標のスコアに設定。2次評価指標は、いずれも2年時の腰痛の程度(VASを用いた0~100のスコア。数字が大きいほど痛みは強い)、QOL(SF-36とEuroQol EQ-5Dを用いて評価)、Hopkins Symptom Checklist(HSCL-25、心理的な苦痛を調べる。スコアは1~4で数字が大きいほど深刻)、Fear Avoidance Beliefs(FABQ、痛みに対する恐怖を回避する思考の程度を評価する、仕事関連の痛みについてはスコア0~42、身体活動関連の痛みについてはスコア0~24で表す。数字が大きいほど重症を意味する)、self efficacy beliefs for pain (治療の有効性に関する自己評価で、スコアが高いほど効果が実感できている)、仕事復帰率、患者の満足度(Likertスケールを用いて評価)、日常的な薬剤の使用に設定した。2年後の時点のみ、Back Performance Scale(BPS、スコアは0~15で数字が大きいほど能力は低い)とProloスケール(腰椎疾患術後評価指標)を用いた評価も行った。

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