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BMJ誌から
高齢者へのレボチロキシン投与時は骨折に注意
用量依存的にリスクが上昇

 高齢者には甲状腺機能の低下が広く見られ、甲状腺ホルモン製剤レボチロキシンの長期投与を受けている患者も少なくない。カナダToronto大学のMarci R Tumer氏らは、高齢者に対するレボチロキシン投与と骨折リスクの関係を定量的に調べる集団ベースの後ろ向き研究を行い、レボチロキシンの使用と骨折の間に有意な関係があること、骨折リスクは用量依存的に上昇することを明らかにした。論文は、BMJ誌2011年5月7日号に掲載された。

 高齢になるほど甲状腺ホルモンの分泌は低下するが、並行して分解も遅くなるため、甲状腺機能低下症患者が必要とするレボチロキシンの量は年齢と共に減少する。にもかかわらず、初回の処方から用量の調整が行われないケースが多く、20%を超える患者に過剰用量が投与されているという報告もある。

 甲状腺ホルモン値が慢性的に高い状態になると骨折リスクは上昇する。既に骨折リスクが高い閉経女性の場合には問題は深刻になり得る。また、甲状腺ホルモン高値は神経筋の機能や筋肉の強度に悪影響を及ぼし、不整脈や転倒のリスクを高め、結果的に骨折を引き起こす可能性がある。

 これまでに行われた、レボチロキシンと骨折の関係を調べた研究は、一貫した結果を示していなかった。その理由が、標本数が少なかったこと、若年で低リスクの集団が含まれていたことなどにあると考えた著者らは、大規模なネステッドケースコントロール研究を行うことにした。

 カナダのオンタリオ州の複数の医療データベースから必要な情報を抽出した。同州在住の70歳から105歳の高齢者で、02年4月1日から07年3月31日までにレボチロキシンが1回以上処方されており(この期間の初回処方日に患者をコホートに組み入れた)、08年3月31日までの骨折に関する情報が得られた人々を分析対象とした。あらゆる骨折で入院した人々をケースとし、年齢、性別、組み入れ日からの期間がマッチするコントロールを最高5人まで選んだ。

 骨折日の直近のレボチロキシンの処方期間に14日を加えた(飲み忘れなどですべてを飲み切るまでに最大14日程度を要すると推定した)期間内に骨折があった場合をレボチロキシンの現在使用者と定義し、処方期間が骨折より15~180日前に終わっていた患者を直前使用者、180日より前に処方期間が終わっていた患者を過去の使用者とした。

 現在使用者については、さらに骨折前15カ月間の累積用量を計算し、そこから1日用量を求め、これに基づいて3群に分けた。25パーセンタイルまでを低用量群(1日用量は0.044mg未満)、25~75パーセンタイルを中用量群(1日用量が0.044~0.093mg)、75パーセンタイル超を高用量群(1日用量0.093mg超)とした。

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