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BMJ誌から
「ARBによる心筋梗塞リスク上昇」を否定
14万人超を対象としたメタ分析と逐次分析の結果

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)は心筋梗塞のリスクを上昇させるのか。米New York大学のSripal Bangalore氏らは、かねて議論のあるこの疑問について、通常のメタ分析と、メタ分析より精度が高いと言われるTrial Sequential Analysis(TSA、逐次分析)を行い、対照群と比較した有意なリスク上昇はないことを明らかにした。分析結果は、BMJ誌2011年5月7日号に掲載された。

 04年にBMJ誌に掲載されたエディトリアル(冒頭部分は同誌のWebサイトで閲覧できる)が、VALUE試験の結果に基づいてARBが心筋梗塞リスクを高める可能性を提示して以来、様々な議論が交わされ、検証が試みられてきた。

 著者らは今回、ARBが心血管イベントやその他の臨床転帰に及ぼす影響を調べるために、無作為化試験の系統的レビューとメタ分析に加えて、TSAを行った。

 TSAは、無作為化試験を年代順に並べて、古い方から順番に有意性検定と信頼区間の算出を繰り返す方法。単一の臨床試験で複数回の中間解析を行う場合に用いられる群逐次検定と似ているが、患者群の代わりに個々の臨床試験の登録患者をグループとして逐次解析する。TSAを行うと、通常のメタ分析のランダム誤差を調整し、エビデンスを導き出すために必要な登録者数を知ることができる。

 著者らは、Pubmed、Embase、コクランセントラルに10年8月までに登録された研究の中から、ARBと偽薬または対照実薬を比較した試験で、100人以上の患者を登録し、1年以上追跡して、心筋梗塞、死亡、心血管死亡、狭心症、脳卒中、心不全、新規発症糖尿病のいずれかの発生件数を報告していたものを選んだ。ARBとACE阻害薬を併用していた試験は除外した。

 37件の無作為化試験(対照群は39群、内訳は偽薬が17群、対照実薬が22群)が条件を満たした。登録患者の合計は14万7020人(49.8%がARBに割り付けられていた)、平均追跡期間は3.3年で、48万5166人-年の追跡が行われていた。

 メタ分析では、対照群(偽薬または実薬)に比べARB群で心筋梗塞リスクが高いことを示す結果は得られなかった。相対リスクは0.99(95%信頼区間0.92-1.07)。偽薬群と比較していた研究を対象に相対リスクを求めると0.93(0.81-1.07)、実薬対照群と比較していた研究では1.04(0.98-1.11)で、いずれも有意差なし。不均質性は低-中等度で、出版バイアスは認められなかった。

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