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BMJ誌から
時々大量飲酒する男性の冠イベントリスクは高い
定期的に適度な飲酒をする男性の約2倍

 飲酒パターンが違えば、虚血性心疾患のリスクも違ってくるのではないか。そう考えた仏Toulouse大学のJean-Bernard Ruidavets氏らが前向きコホート研究のデータを分析した結果、時々大量飲酒する男性の冠イベントリスクは、定期的に適度な飲酒を続ける人々の約2倍であることが明らかになった。非飲酒者の冠イベントリスクも、定期的飲酒者の約2倍だった。論文は、BMJ誌2010年11月27日号に掲載された。

 米CDC(疾病対策センター)は先頃、米国では、毎年7万9000人が過剰な飲酒によって死亡していると報告した。一方で、適度の飲酒は虚血性心疾患のリスクを下げるという報告が複数ある。また、アルコール飲料の種類と虚血性心疾患リスクの関係については、いまだ議論があった。

 著者らは、これまでほとんど知られていなかった、飲酒パターンが虚血性心疾患に与える影響を明らかにしようと考えた。分析対象に選んだのは、PRIME(Prospective Epidemiological Study of Myocardial Infarction)試験に参加した、北アイルランドとフランスに住む男性だ。両国とも世界で最も飲酒量の多い国に分類されるが、飲酒習慣は対照的で、北アイルランドでは週末に大量飲酒する傾向が強く、飲むアルコールは主にビール。一方、フランス人は、日常的に適度のアルコールを摂取し、選ぶのはワインという傾向を示す。また、北アイルランドの虚血性心疾患の罹患率はフランスより高く、心筋梗塞は2倍、冠疾患死亡は3倍との報告があった。著者らは、リスクの差の一部は飲酒パターンの違いに起因するのではないかと考えた。

 PRIMEには北アイルランドの1施設(Belfast)とフランスの3施設(Lille、Strasbourg、Toulouse)が参加。この試験に91~94年に登録された、50~59歳で虚血性心疾患のない男性9778人の情報を得た。これらの男性は、登録時に質問票を用いた調査を受けていた。職業、学歴や本人と家族の医療歴、喫煙歴、使用している薬剤、身体活動などと共に、1週間の飲酒量(どんなアルコール飲料をどれだけ飲むか)、大量飲酒(週1回以上50g超のアルコールを摂取)の有無、定期的飲酒(週に1回以上飲酒し、飲酒量は1回につき50g未満)の有無や、よく飲むアルコール飲料の種類などについて調査した。身長、体重、血圧、血中脂質量などの測定も行った。

 飲酒パターンに基づいて、登録男性を非飲酒、禁酒(過去に飲酒)、定期的に飲酒、大量飲酒の4群に分けた。

 10年間の追跡中に発生したすべての冠イベントを前向きに検出した。主要アウトカム評価指標は、冠イベント(心筋梗塞と冠疾患死亡)と狭心症に設定し、飲酒の関係は、ベースラインの患者特性で調整し、Cox比例ハザード解析を行って評価した。

 北アイルランドの男性2405人とフランスの男性7373人を分析した。

 週1回以上飲酒すると回答した男性はそれぞれ1456人(60.5%)と6679人(90.6%)。これらを大量飲酒者とそれ以外の定期的飲酒者に分けると、北アイルランドではそれぞれ227人(9.4%)と1229人(51.1%)、フランスでは33人(0.5%)と6646人(90.1%)になった。毎日飲酒する男性は北アイルランドが173人(12%)、フランスが5008人(75%)で、両国の飲酒習慣には大きな違いが見られた。

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