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BMJ誌から
80歳超の脳卒中患者にもアルテプラーゼは有効で安全

 急性虚血性脳卒中患者に対する血栓溶解療法の有効性は臨床試験で確認されているが、80歳を超えた高齢者への適用については議論があり、承認されていない国もある。英Glasgow大学のNishant K Mishara氏らは、脳卒中患者を登録したデータベースの情報を分析して、80歳以下と同様に80歳超の患者にもこの治療を適用すべきだという結論を得た。論文は、BMJ誌2010年11月27日号に掲載された。

 遺伝子組み換えt-PA製剤アルテプラーゼを高齢の患者に適用した場合の安全性と有効性を示す無作為化試験のデータはわずかしかない。その上、出血リスクの上昇や院内死亡の増加が懸念されることから、欧州のガイドラインは、80歳超の患者はアルテプラーゼの適応外としている。

 しかし現実には、急性脳卒中患者の約30%は80歳超という報告があり、先進国では人口の高齢化が進んでいることから、著者らは、高齢者への血栓溶解療法の利益とリスクの評価を試みた。

 スウェーデンKarolinska大学病院の管理下にあり、アルテプラーゼ投与を受けた急性虚血性脳卒中患者の情報を登録しているデータベースSITS-ISTR(Safe Implementation of Treatment in Stroke-International Stroke Thrombolysis Registry)と、英Glasgow大学が管理する、脳卒中治療の神経保護効果を調べた臨床試験データを収集しているVISTA(Virtual International Stroke Trials Archive)からデータを得た。

 SITS-ISTRに02年12月から09年11月までに登録された、血栓溶解療法が適用され90日間の追跡が完了した2万3334人と、98年から07年までにVISTAに登録され、血栓溶解療法を受けずに90日間追跡されていた6166人の情報を抽出した。

 計2万9500人のうち、3472人が80歳超(これらの人々の平均年齢は84.6歳)だった。

 ベースラインのNational Institutes of Health stroke severity scale(NIHSS、正常が0点、最重症が40点)に基づく脳卒中重症度スコアが報告されていなかった272人を除外し、残る2万9228人を分析した。

 主要アウトカム評価指標は、修正Rankinスケールに基づく90日時の機能的転帰に設定。修正Rankinスケールのスコア0は症状なし、6は死亡を意味する。

 血栓溶解療法適用群と非適用群のベースラインの脳卒中重症度は同様だった。NIHSSスコアの中央値はどちらも12(P=0.14)。

 脳卒中発生から治療開始までの時間は80歳以下群、80歳超群ともに145分だった(P=0.25)。

 90日時点の修正Rankinスケールのスコア分布をCochran-Mantel-Haenszel検定により比較したところ、転帰は血栓溶解療法群の方が良好だった(年齢と脳卒中の重症度で調整したオッズ比は1.6、95%信頼区間1.5-1.7、P<0.001)。

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