日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
にきび治療薬イソトレチノインに自殺リスク?

 抗菌薬に反応しない重症の痤瘡にきび)に効果が期待できる経口薬イソトレチノインは、未承認のわが国でも個人輸入で使用されるケースがある。スウェーデンKarolinska研究所のAnders Sundstrom氏らは、イソトレチノインを処方された患者を長期にわたって追跡し、服用中と治療終了から1年間は自殺企図リスクが有意に上昇することを明らかにした。論文は、BMJ誌2010年11月20日号に掲載された。

 イソトレチノインには催奇性があるため、妊娠の可能性のある年代の女性への処方は慎重に行われている。また、うつや自殺のリスク上昇も懸念されてきたが、これまでに行われた観察研究は一貫した結果を示していなかった。イソトレチノインはマウスの行動に影響を及ぼすことが示されており、ヒトでも大脳の代謝に影響するとの報告がある。著者らは、スウェーデンでこの薬剤を処方された患者の治療開始までの最長3年間と、治療中、治療終了から最長15年間の自殺企図歴を後ろ向きに調べて、治療との関係を明らかにしようと考えた。

 この後ろ向きコホート研究の対象は、1980~89年にイソトレチノインを初めて処方された患者(この間、スウェーデンではこの製品は正式な承認を得ていなかったため、基本的には例外的使用=compassionate useのみが行われた)とし、入院記録、1980~2001年の死亡登録に記載されている死因などと治療との関係を調べた。

 主要アウトカム評価指標は、標準化した自殺企図率(実際に観察された件数を、性別、年齢、年度によって標準化した自殺企図予測件数=一般集団に予測される自殺企図件数で割ったもの)とし、追跡は死亡まで、または01年12月31日まで行った。

 15~49歳の5756人(63%が男性、男性の平均年齢が22.3歳、女性は27.1歳)にイソトレチノインが処方されていた。処方前の追跡期間は1万7197人-年、処方中は2905人-年、処方終了後は8万7120人-年だった。

 処方期間の平均は男性患者が6.0カ月、女性患者は6.1カ月で、90%超の患者が1コースの処方で治療を終了していた。

 80~01年に128人(2.2%)の患者が少なくとも1回自殺を企図し入院していた。うち70人(1.9%)が男性、58人(2.7%)が女性だった。初回の自殺企図は、処方前が男性15人、女性17人、治療中と治療終了から1年間の自殺企図がそれぞれ11人と9人、その後は44人と32人だった。自殺企図の85%は中毒または薬物の過剰摂取によるものだった。

 1人当たりの自殺企図回数の平均は1.6回で、延べ210件の入院記録があった。自殺完遂は男性17人、女性7人。42%が中毒死または薬物の過剰摂取によって死亡していた。

この記事を読んでいる人におすすめ