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BMJ誌から
60歳時のPSA値が前立腺癌の生涯リスクを予測
1ng/mL以下ならその後のスクリーニングの必要性は低い

 PSA値を指標とするスクリーニングは対象年齢の男性全員に必要なのだろうか。米Memorial Sloan-Kettering Cancer Center のAndrew J Vickers氏らは、スウェーデンの一般男性を対象にケースコントロール研究を行い、60歳時のPSA値が、その後の前立腺癌診断、転移、前立腺癌による死亡を予測できること、60歳時にPSAが1ng/mL以下であれば、生涯にわたって前立腺癌に生命を脅かされる可能性は非常に低いことを明らかにした。論文は、BMJ誌2010年9月18日号に報告された。

 PSA値を指標とする前立腺癌スクリーニングには、過剰診断と過剰治療の可能性がある。著者らは、リスクレベルに応じたスクリーニングと化学予防が実施できないかと考え、60歳の時点のPSA値に基づくリスクレベルの推定が可能かどうかを調べるネステッドケースコントロール研究を実施した。

 スウェーデンで行われた集団ベースのコホート研究(Malmo Preventive Project)に参加した男性のうち、1981年に60歳で、前立腺癌ではなく、その時点で血液標本が採取されており、医療歴や生活習慣に関する調査が完了していた人々を選出。その中から、その後前立腺癌を発症した126人を、スウェーデン保健福祉庁の癌登録を利用して同定した。次に、ケース1人の1イベント(前立腺癌発症、転移発生、前立腺癌死亡の各イベント)当たり3人のコントロール(生年月日とベースラインの採血日がマッチし、イベント発生時点で前立腺癌ではなかった人々)を同じコホートから選出した。計1167人を、死亡または85歳になるまで追跡した。

 登録された人々の追跡期間中のスクリーニング受検率は低かった。

 前立腺癌発症は126例、前立腺癌転移は43例、前立腺癌死亡は35例で、ベースラインからこれらイベント発生までの中央値は15.3年、転移は15.7年、前立腺癌死亡までは15.9年だった。

 前立腺癌診断のきっかけは尿路症状に対する診察だった患者が最も多かった(79%)。スクリーニングによる発見はなかった。根治的治療を受けた患者は少なく、前立腺全摘除術の適用は1例のみだった。

 コホート全体の60歳時のPSAの中央値は1.06ng/mL(四分位範囲は0.65-1.92)で、米国人男性に関する報告と同様だった。

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