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BMJ誌から
便中カルプロテクチン値が炎症性腸疾患のスクリーニングに有用
成人の疑い例に対する内視鏡検査が67%減

 クローン病潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患が疑われる患者の診断には、内視鏡検査が用いられる。オランダGroningen大学医療センターのPatrick F van Rheenen氏らはメタ分析を行い、最初に便中カルプロテクチン検査を行えば、成人では内視鏡検査の必要性が67%低下することを明らかにした。詳細は、BMJ誌2010年7月24日号に報告された。

 内視鏡検査は炎症性腸疾患の診断に必須だが、検査を受ける患者の多くが実際には炎症性腸疾患ではない。より可能性の高い患者のみを選別する、シンプルで非侵襲的、かつ安価な方法が求められている。

 炎症マーカーであるカルプロテクチンは、炎症性細胞の細胞質に含まれる蛋白質で、室温に保管された便中でも安定で、5gの便があれば十分に測定可能という利点を持つ。

 2000年以降、便中カルプロテクチンを様々な診断に利用するための研究が行われてきた。著者らは、カルプロテクチン検査の炎症性腸疾患診断精度を調べた研究を対象に、カルプロテクチン値を利用することにより内視鏡検査をどれだけ減らせるかという視点から、メタ分析を実施した。

 MedlineとEmbaseに2009年10月までに登録された研究の中から、内視鏡検査実施前に採取した便を標本として測定したカルプロテクチン値を指標とする診断の精度を、続いて実施した内視鏡検査と生検標本の組織病理学的所見を指標とする標準的な診断の精度と比較した前向き研究を選出した。

 13件の研究が条件を満たした。全てが連続した患者を登録していた。6件は成人(計670人)、7件は小児~10代(計371人)を対象としていた。

 内視鏡検査によって炎症性腸疾患と診断されたのは成人の32%(215人)、小児~10代の61%(226人)だった。

 研究ごとに用いていたカルプロテクチンのカットオフ値は異なり、24μg/gから150μg/gまで幅広かったが、最も多く用いられていたのは、この検査の製造会社が指示する50μg/gだった。対象となった研究の数が少なかったため、異なるカットオフ値を用いた場合の診断精度を比較、分析することはできなかった。

 成人を対象とした研究のデータをプールして分析したところ、カルプロテクチン値を指標とした炎症性腸疾患診断の感度は0.93(95%信頼区間0.85-0.97)、特異度は0.96(0.79-0.99)となった。小児~10代を対象とした場合には、それぞれ0.92(0.84-0.96)と0.76(0.62-0.86)だった。成人を対象とした場合と小児~10代の場合の特異度を比較すると差は有意だった(P=0.048)。

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