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BMJ誌から
携帯電話の基地局近くに住んでも小児癌は増えない

 携帯電話基地局の近くに住んでいても、生まれた子供が幼いうちにを発症するリスクは上昇しない―。英London Imperial CollegeのPaul Elliott氏らは、英国の癌登録と全英出生登録から抽出したデータと、携帯電話基地局に関する情報を分析し、妊婦の不安を払拭する結果を得て、BMJ誌2010年7月1日号に報告した。

 携帯電話の使用と、脳腫瘍やその他の癌、片頭痛、めまい、それ以外の健康障害の関係については今も懸念がある。米英では様々な研究が行われ、多くが携帯電話使用と特定疾患の関係を否定するデータを報告している。

 近年、携帯電話の基地局が住まいの周辺に存在することが健康に害を及ぼすのではないかと心配する声が高まっている。基地局周辺の無線周波数電磁界に曝露することの影響は、成長発達の最中にある小さな子供たちと胎児においてより大きいと考えられている。

 そこで著者らは、妊婦のマクロセル型基地局(日本の携帯電話の基地局もこのタイプ)からの電波曝露と生まれた子供の幼少期の癌の関係を調べるケースコントロール研究を実施した。

 1999~2001年に癌登録にデータが入力された0~4歳の癌患者の全て(1926人)のうち、誕生時点の住所が明らかだった1397人(全体の73%、ケース)と、それらの患者と性別、誕生日が一致する5588人(患者1人当たり4人のコントロール)を分析対象とした。

 主要アウトカム評価指標は、脳と中枢神経系の癌、白血病と非ホジキンリンパ腫、あらゆる癌とした。

 癌患者1397人中251人が脳または中枢神経系の癌、527人が白血病または非ホジキンリンパ腫だった。

 誕生時の住まいから最も近くにある基地局までの距離の平均は、ケースが1107メートル(SD1131)、コントロールが1073メートル(SD1130)で、有意差なし(P=0.31)。

 住まいから700メートル以内に存在する全ての基地局からの出力の総計は、2.89kW(SD5.9)と3.00kW(SD6.0)で、やはり差なし(P=0.54)。

 住まいから1400メートル以内(1400メートルを超えると曝露はバックグラウンドレベルになる)に存在する基地局からの電波の出力密度の推定値は-30.3dBm(SD21.7)と-29.7dBm(SD21.5)で差はなかった(P=0.41)。

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