日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
屋外で遠近両用眼鏡を遠見用に替えると転倒が減少
ただし屋外活動の少ない高齢者では逆効果の可能性

 老眼で多焦点の遠近両用眼鏡を使用している高齢者に単焦点の遠見用眼鏡を提供すると、自宅外の転倒が有意に減る。ただし、屋外で活動することが少ない高齢者では逆効果になる可能性がある―。そのような結果が、オーストラリアRoyal North Shore病院のMark J Haran氏らが行った無作為化試験で得られた。論文は、BMJ誌2010年6月19日号に掲載された。

 多焦点レンズは便利だが、レンズの下部を通して足元を見にくいという問題がある。著者らは、転倒が起きやすい自宅外で遠見用眼鏡を使用すれば転倒を減らせるのではないかと考え、無作為化並行群間試験VISIBLEを実施した。

 この試験は、オーストラリアのニューサウスウェールズ州で、評価者盲検で行われた。05年5月から07年7月まで、遠近両用眼鏡(二焦点レンズ、三焦点レンズ、累進焦点レンズ)を常用している高齢者606人(平均年齢80歳)を登録。組み込み条件は、地域在住で、転倒リスクが高く(80歳以上か、65歳以上で過去12カ月間に転倒あり、またはtimed up and go testの成績が15秒以上)、週3回以上自宅外で遠近両用眼鏡を使用する人とした。

 介入群(305人)には適切な遠見用眼鏡を作成・提供し、屋外歩行時や自宅外の建物を訪れるとき、ショッピングセンターでの買い物時、公共交通機関からの下車時などに使用するよう指示した。また、多焦点レンズ使用時には足元に注意するようアドバイスした。対照群(301人)には通常通りの生活を続けるよう指導した。

 主要アウトカム評価指標は、割り付けから13カ月間(遠見用眼鏡を受け取ってから約12カ月間)の不注意による転倒と、転倒によって引き起こされた外傷(骨折や脱臼、臓器や軟組織の外傷)に設定。分析はintention-to-treatで行った。

 介入群の90%(275人)が登録から2カ月以内に遠見用眼鏡を受け取った。遠見用眼鏡を指示通り使用した期間の中央値は7カ月だった。54%(162人)が、少なくとも7カ月以上、適切かつ快適に遠見用眼鏡を使用したと回答した。

 追跡を完了したのは,介入群の299人と対照群の298人だった。あらゆる転倒を1回以上経験したのは、介入群の170人(57%)と対照群の175人(59%)で、介入群一人当たりの転倒回数(転倒発生率)は1.54回、対照群では1.66回だった。対照群と比較した介入群の転倒の発生率比は0.92(95%信頼区間は0.73-1.16)で、差は有意ではなかった。自宅外での転倒に限定しても1.00(0.78-1.28)、転倒による外傷は0.96(0.74-1.24)で、いずれも有意差は見られなかった。

この記事を読んでいる人におすすめ