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BMJ誌から
小児の発熱症状から重篤な細菌感染症を疑うには
尿路感染、肺炎、菌血症の診断用モデルを作成

 発熱して救急部門を受診する5歳未満の小児のうち、約7%が重篤な細菌感染症尿路感染肺炎菌血症)であり、受診時の臨床症状を組み込んだ診断用モデルを使えば、高い精度でこれら3つの細菌感染を見分けられる―。そんな研究結果を、オーストラリアSydney大学のJonathan C Craig氏らが、BMJ誌2010年5月8日号に報告した。

 5歳以下の小児が発熱し医療機関を受診する頻度は高いが、最終的に重篤な細菌感染症と診断されるのは5~10%のみだ。小児の細菌感染は、症状のみからウイルス感染と区別することは難しい。だが、診断の遅れが抗菌薬投与の遅れにつながる可能性があり、最悪の場合には患者は死亡する。

 そこで著者らは、発熱があり、重篤な細菌感染の疑いがある小児症例において、診断と治療が適切に行われているかどうかを評価し、非細菌感染による発熱と重篤な細菌感染を区別するための多変量モデルを作成して、その精度を調べようと考えた。

 この2年間の大規模な前向きコホート研究は、04年7月1日から06年6月30日までに、発熱性疾患によりオーストラリアWestmead小児病院の救急部門を受診した5歳未満の患者を分析対象とした。

 個々の患者の症状や兆候など、40の臨床的特徴の記入を含む標準化された臨床情報を電子カルテに登録するよう医師に指示した。加えて、診察時点で、可能性の高い10の疾患のうちのどれだと判断したかも記入するよう依頼した。その後、標準的な検査が行われ、X線検査や細菌学的検査により重篤な細菌感染か否かが診断された。

 主要アウトカム評価指標は、3つの重篤な細菌感染のいずれかという診断(尿路感染、肺炎、菌血症)と、著者らが作成した診断モデルと臨床医の診断の精度に設定された。

 試験期間中に記録された1万5781症例の中で、分析対象とした3疾患と診断された患者は計1120人、有病率は7.2%(95%信頼区間6.7%-7.5%)だった。内訳は、尿路感染が543人(3.4%、3.2%-3.7%)、肺炎は533人(3.4%、3.1%-3.7%)、菌血症が64人(0.4%、0.3%-0.5%)。

 重篤な細菌感染だった患者のほとんど(94%超)が、尿培養、胸部X線撮影、血液培養といった適切な検査を受けていた。

 抗菌薬の投与は、尿路感染と診断された小児の66%(543人中359人)、肺炎の小児の69%(533人中366人)、菌血症の小児の81%(64人中52人)に行われていた。

 一方で、細菌感染が否定された小児でも、20%(1万3557人中2686人)が抗菌薬の処方を受けていた。

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