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BMJ誌から
血糖厳格管理群の死亡率上昇の原因は重症低血糖ではない
ACCORD試験のデータの分析結果

 ACCORD試験(関連記事はこちら)において、血糖厳格管理群に割り付けられた2型糖尿病患者の死亡率が標準管理群に比べて高くなった理由は、いまだ明らかになっていない。米Wake Forest大学のMichael E Miller氏らは、厳格管理低血糖リスクを高めることから、重症低血糖に起因する死亡が増えたのではないかと仮定して、ACCORD試験のデータを分析した。だが、得られた結果はこの仮説を否定するものだった。論文は、BMJ誌2010年1月16日号に掲載された。

 ACCORD試験では、厳格管理群の年間死亡率が1.42%、標準管理群は1.14%(ハザード比1.22、95%信頼区間1.01-1.46、p=0.04)という結果を受けて、平均追跡期間3.5年の時点で厳格管理群に対する治療が中止されている。死亡率上昇の原因については様々な仮説が提示されており、その1つが重症低血糖だった。厳格管理群では低血糖が発生しやすいこと、低血糖イベントは死亡を引き起こし得ることがこの仮説の根拠になっていた。

 だが、実際には、2型糖尿病患者の重症低血糖と死亡の関係を調べた研究はほとんどなかった。著者らは、ACCORD試験のデータは低血糖と死亡の関係を分析する格好の機会を提供すると考え、以下の3つの疑問に対する回答を得るべく、後ろ向きの疫学分析を実施した:(1)1回以上重症の低血糖イベントを経験した患者の死亡リスクは、そうでない患者より高いか、(2)厳格管理群と標準管理群で重症低血糖イベント経験者の死亡リスクに差があるか、(3)重症低血糖イベントによる死亡リスクの差が厳格管理群の死亡率上昇を説明できるか。

 この試験は、米国とカナダの77カ所の医療機関で行われた。2型糖尿病でHbA1cが7.5%以上、年齢40~79歳で心血管疾患の患者、もしくはアテローム性動脈硬化、アルブミン尿症、左室肥大、または少なくとも2つ以上の心血管危険因子を保有(脂質異常症、高血圧、現在の喫煙、肥満)のいずれかが当てはまる55~79歳の患者、計1万251人(平均年齢62.2歳)を登録。厳格管理群(5128人)のHbA1c目標域は6.0%未満に、標準管理群(5123人)は7.0~7.9%に設定された。使用する血糖降下薬は指定せず、複数の薬剤の処方を可能とし、主治医が患者の反応を見ながら調整した。

 今回、重症低血糖の定義として、医療を必要とする症候性の重症低血糖イベント(HMA:血糖値が50mg/dL未満で、糖質の経口摂取、ブドウ糖静注、グルカゴンの皮下注射または筋肉注射で速やかに回復)と、何らかの手助けが必要な症候性重症低血糖イベント(HA:血糖値が50mg/dL未満で、医療を利用また周囲の人による糖質投与を受けて回復)の2通りを用いた。

 今回の主要アウトカム評価指標は、症候性の重症低血糖と全死因死亡に設定した。

 登録された1万251人のうち、追跡期間中の低血糖に関する記録があった1万194人を分析対象とした。うち死亡は451人だった。

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