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BMJ誌から
早期前立腺癌患者の3年後のQOL、治療法により大きな違い
影響が大きいのは全摘術、放射線外部照射、アンドロゲン遮断療法

 限局性前立腺癌では、どの治療法を選んでも5年生存率はほぼ100%になっている。では、QOLもまた同様なのだろうか。オーストラリア癌協議会のDavid P Smith氏らは、集団ベースの前向きコホート研究を行い、治療から3年後のQOLを調べた。その結果、前立腺癌に特異的なQOL(性機能、尿路機能、腸機能)は選択した治療法によって有意に異なること、QOL低下に与える影響が大きいのは前立腺全摘除術、放射線の外部照射、アンドロゲン遮断療法であることが明らかになった。詳細は、BMJ誌2010年1月23日号に報告された。

 どの治療法を選んでも生存率に差がないなら、治療選択の基準を大きく左右するのは治療後のQOLになる。治療の長期的な影響に関する具体的な情報を患者に提供する必要があると考えた著者らは、限局性前立腺癌に対する治療が、3年後のQOLに及ぼす影響を明らかにするために、New South Wales Prostate Cancer Care and Outcomes Study(PCOS)を実施した。

 2000年10月から02年10月の間に新規に診断された、70歳未満の限局性前立腺癌患者(T1a-T2c、リンパ節転移または遠隔転移がない)で、オーストラリアのニューサウスウェールズ州の癌登録に報告された症例を「ケース」とした。「コントロール」として、同州の選挙人名簿から、ケースと年齢、居住地区が一致する男性を無作為に選んだ。

 診断から6カ月以内に行われた治療を当初の治療とし、active surveillance(PSA監視療法)、根治的前立腺全摘除術、放射線の外部照射、アンドロゲン遮断療法、低線量率小線源療法、高線量率小線源療法、これらの併用―に分類した。

 ベースラインと1年後、2年後、3年後に、電話を使った聞き取り調査を実施。健康関連QOLはUCLA-PCIを用いて評価した。UCLA-PCIは、SF-36の短縮版であるSF-12と、性機能、尿路機能、腸機能といった前立腺癌関連のQOLを調べる質問が含まれている。

 ケースに対するベースラインの調査は、診断前の実施が不可能だったため、登録直後に行うとした(診断から平均3カ月が経過していた)。そこで、コントロールの人々にも、インタビューから3カ月前の状態を思い出して回答するよう求めた。

 主要アウトカム評価指標は、3年後の一般的な健康状態と、前立腺癌に関係する機能の状態に設定。人口統計学的、臨床的な交絡因子候補(ベースラインの年齢、QOLスコア、収入、居住地域、併存疾患など)で調整して多変量解析を行った。

 分析の対象にしたのはケース1642人(平均年齢61.2歳)、コントロールは495人。

 ケースのうち、981人(60%)が前立腺全摘除術(うち494人は神経温存術を受けた)を、残りの患者の多くが外部照射を受けており、アンドロゲン遮断療法が適用された患者(主に外部照射との併用)が289人(18%)いた。Active surveillanceは200人(12%)に適用された。

 それぞれの治療が適用された集団の患者特性、臨床特性は有意に異なっていた。より若く性的な機能も高い男性には、神経温存前立腺全摘除術が用いられる頻度が高く、外照射またはアンドロゲン遮断療法は、より高齢で病気が進行している患者や併存疾患を有する患者に用いられることが多かった。

 ベースラインと3年時の情報が得られたケースは1493人(91%)。3年の時点で99人(6.6%)が再発または転移を経験していた。

 ケースとコントロールの3年時の全般的なQOLに有意差は見られなかった。ただし、アンドロゲン遮断療法を受けた患者のみ、3年時のQOLの身体スコアがコントロールより有意に低かった。

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