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BMJ誌から
バレニクリンに明確な自殺リスク上昇は見られず
その他の禁煙補助療法を受けている喫煙者との比較

 バレニクリンは現在利用可能な禁煙補助薬の中で最も効果が高いと考えられている。だが最近、バレニクリンと自殺リスクの関係が示唆されている。そこで、英Bristol大学のDavid Gunnell氏らは、英国の一般診療研究データベースから禁煙治療を受けた患者を選出し、ニコチン置換療法、ブプロピオン、バレニクリンの3つについて、自傷行為と自殺念慮に対する影響を比較した。この結果、バレニクリンが自傷行為と自殺念慮のリスクを上昇させることを示す明確なエビデンスは得られなかった。論文は、BMJ誌電子版に2009年10月1日に掲載された。

 中枢神経系に作用するバレニクリンはドーパミン放出を刺激するため、気分に変調をもたらす可能性があると以前から考えられていた。2007年、バレニクリン使用者にうつと自殺念慮が見られるとの報告を受けて、各国で添付文書に警告が追加された。米国では、バレニクリンに先駆けて禁煙補助薬として承認を得ていたブプロピオンについても、添付文書に同様の警告が加えられた(関連記事はこちら)。

 バレニクリン使用者に自殺リスク上昇があるなら、それがバレニクリンの有害事象であるのか、禁煙の影響なのかを明らかにしなければならない。しかし、喫煙者の自殺リスクは高く、非喫煙者の2~3倍であることなど、試験の設計と分析を難しくする要因が複数存在するため、これまで大規模研究は行われていなかった。

 著者らは、バレニクリンとそれ以外の禁煙補助治療(ニコチン置換療法、ブプロピオン)を受けている喫煙者を比較する大規模な分析を行うことにより、自殺リスクへの影響を評価しようと考えた。

 英国一般診療研究データベース(General Practice Research Database: GPRD)から、2006年9月1日から2008年5月31日までに新たに禁煙補助薬の処方を受けた18~95歳の男女8万660人を選出した。

 対象にした禁煙補助薬は、バレニクリン(推奨治療期間は12週)、ブプロピオン(推奨治療期間は7~9週)、ニコチン置換療法(パッチ、吸入、経鼻スプレー、ガム、タブレット、舌下錠、トローチ。使用期間は3~6カ月)。使用期間が推奨期間の2倍を超えていた患者は除外し、処方期間と最後の処方日から3カ月の間の患者情報を入手した。

 主要アウトカム評価指標は、致死的または非致死的自傷行為、2次アウトカムは自殺念慮、うつ、全死因死亡に設定し、Cox比例ハザード分析を行った。交絡因子候補として、性別、年齢、精神科での治療歴、アルコール濫用、向精神薬使用歴、過去の自傷行為または自殺念慮、過去の禁煙補助薬使用、1年間の一般開業医受診回数、処方開始は英国でバレニクリンと自殺との関係が広く知られるようになった2008年1月より前か後か、貧困度、居住地域、追跡期間中に複数種類の禁煙補助薬を使用したか否かについて、情報を抽出した。

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