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BMJ誌から
プライマリケアで重要な警告症状は血尿、喀血、嚥下障害、直腸出血

2009/09/09
大西 淳子=医学ジャーナリスト

 プライマリケアを受診する人々の中から深刻な病気の患者を見分けることは容易ではない。英London大学King's CollegeのRoger Jones氏らが、血尿、喀血、嚥下障害、直腸出血を訴える患者がそれ以降に治療を要する重要な疾患と診断される割合を調べたところ、90日以内では5人に1人、3年以内となると2人に1人に上ることが明らかになった。詳細は、BMJ誌2009年8月29日号に報告された。

 著者らによると、英国の開業医が新規発症の重篤な疾患の患者を診察する機会は少ない。開業医1人が1年間に見る患者のうち、癌発症者は約7人、脳卒中は3~4人、心筋梗塞は5~6人程度と推算されている。ゆえに、自然に回復に向かう多くの患者の中から、早期治療が必要または進行が早い疾患の患者を見い出すことは難しい。

 プライマリケアで重要疾患を見分けるために役立つ診断基準の必要性は非常に高いが、一般に広く見られる症状の中にどの程度の割合で深刻な病気が潜んでいるかについてはほとんど情報がなかった。

 著者らは、世界最大のプライマリケアデータベースである英国一般診療研究データベースを用いて、血尿、喀血、嚥下障害、直腸出血という4つの警告症状を示す患者の重要疾患罹患率を調べた。癌のみに関するデータは既に報告済みで、警告症状が見られてから3年後に癌と診断されるリスクは、血尿では、女性が3.7%、男性が8.0%、喀血では4.5%と8.0%、嚥下障害は2.5%と5.9%、直腸出血では2.1%と2.7%だった。4つの警告症状の癌予測能力は、特定の患者群(特に高齢者)において高かった。

 癌以外の重要疾患についても、観察を続けて診断を下すのでなく、早期に積極的に発見すれば、迅速な治療開始が可能になる。著者らはさらに、癌以外の疾患の罹患についても、これら警告症状との関係を調べることにした。

 やはり英国一般診療研究データベースを用いた今回のコホート研究は、英国の一般診療所128施設を1994年に受診した15歳以上の76万2325人を対象に行われた。

 4つの警告症状のいずれかが1994年に初めて記録された人々を追跡し、その後、下記の重要疾患と診断された患者の割合を調べた。

 血尿が記録されていた患者については、尿路癌、腎臓結石、前立腺肥大、睾丸炎、尿路感染症、月経異常、糸球体腎炎、尿道炎、出血性疾患、腎結核、多嚢胞性腎疾患、感染性心内膜炎、住血吸虫症、子宮癌、前立腺癌。

 喀血では、呼吸器癌、急性上気道感染、急性下気道感染、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、喘息、インフルエンザ、肺塞栓、出血性疾患、肺水腫/左室不全、僧帽弁狭窄症、結節性多発動脈炎、肺結核、アスペルギルス症、グッドパスチャー症候群、肺や房室の先天異常。

 嚥下障害では、上部消化管の癌、食道炎、食道狭窄症、裂孔ヘルニア、胃炎、胃の疾患、胃または十二指腸の消化性潰瘍、食道神経症(ヒステリー球)、咽頭嚢症候群、シャーガス病、強皮症、重症筋無力症、アカラシア、胃癌。

 直腸出血については、大腸癌、肛門癌、憩室炎、裂肛、クローン病、潰瘍性大腸炎、感染性胃腸炎、痔、消化性潰瘍、出血性疾患、血管異形成症、腸重積症、メッケル憩室。

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