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BMJ誌から
スタチンは市中肺炎リスクを減らさない
「リスク低減」とした過去の研究にはバイアスが影響か

 近年、スタチンが炎症反応や免疫機能に影響を与えることが明らかになり、この薬剤が感染症の罹患率と死亡率をも低減するのではないかと期待されるようになった。実際に多くの観察研究がそれを支持する結果を報告している(関連記事はこちら)。しかし、米国Group Health Center for Health StudiesのSascha Dubli氏らが、集団ベースのケースコントロール研究を行ったところ、スタチンを使用していても市中肺炎リスクは低減しない、という結果が得られた。詳細は、BMJ誌2009年6月20日号に報告された。

 著者らは、スタチンによる感染症リスク低減を示した研究の多くがバイアスを放置しているのではないかと考え、既存のケースコントロール研究のデータの分析を通じて、「スタチンが市中肺炎のリスクを低減する」という仮説の検証を試みた。

 分析対象とした研究は、インフルエンザ予防接種と肺炎リスクの関係を調べるために行われたもの。大規模なヘルスケアデリバリーシステムGroup Healthの会員になって2年以上経過している、65~94歳で免疫機能が正常な、地域在住の人々のデータを得た。癌の既往がある人、慢性腎不全患者などは除外した。

 肺炎は季節性インフルエンザ流行期の初回発生のみを対象とした。スタチンと肺炎リスクの関係に影響を及ぼす可能性のある変数(併存疾患、生活習慣、人口統計学的要因、医療の利用、身体機能、認知機能など)に関する情報は、過去2年間の医療記録と調剤記録から抽出した。

 主要アウトカム評価指標は、スタチン使用に関連する肺炎リスクに設定。市中肺炎のケース1人につき、年齢、性別などがマッチするコントロールを2人選び、条件を満たした1125人のケースと2235人のコントロールを比較した。

 ケースのうち395人(35.1%)が入院。それ以外は外来で治療を受けた。62人(5.5%)が発症から30日以内に死亡していた。

 コントロールに比べケースには慢性の肺疾患と心疾患の患者が多く、特に重症患者の割合に差があった。また、喫煙者が多く、身体機能の障害または認知機能障害も多かった。

 発症前12カ月に636人にスタチンが計6176回処方されていた。最も多く用いられていたのはシンバスタチン(76%)で、ロバスタチンは19%、アトルバスタチンは3.5%だった。

 コントロールでは女性より男性のスタチン使用者が多かった。心疾患の既往がある患者の割合は使用者で高かった。スタチン使用者はそうでない人々に比べ、より健康的な生活をしていた(喫煙者が少なく、インフルエンザの予防接種または肺炎の予防接種を受けている人の割合が高かった)。また、スタチン使用群の方が身体機能も高かった。

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