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BMJ誌から
異常プリオン保有率はこれまでの推定より低い可能性
英国の6万3007の扁桃組織標本を分析した結果

 英国のBSE暴露リスクある年代の異常プリオン保有率が、これまでの研究結果に基づく推定よりも少ない可能性が示された。暴露リスクのある1961~85年生まれの患者から採取された扁桃1万2753標本について異常プリオン蛋白質(PrPCJD)の存在を調べた結果、すべて陰性だったという。英健康保護局感染症センターのJonathan P Clewley氏らの報告で、詳細はBMJ誌電子版に2009年5月21日に掲載された。

 英国では、輸血を介した変異型クロイツフェルト・ヤコブ病vCJD)感染がこれまでに4例発生しており、その中には無症候のドナーからの感染も含まれていたため、vCJDの医療関連感染に対する警戒が続けられている。著者らは、英国におけるPrPCJD保有率をより正確につかんだ上で、その保有率に見合った公衆衛生施策を展開し、vCJDの医療関連感染の脅威を軽減すべきだと考え、保管されている扁桃標本を対象にPrPCJD保有率を調べることにした。

 現在、1961~85年生まれの有病率は100万人当たり292人(95%信頼区間60-853)と推定されている。これは、最初のスクリーニングとして、虫垂1万1247標本と扁桃1427標本を対象に、免疫組織化学染色により異常プリオンを検出する試みが行われ、1961~85年生まれの1万278人中3人に由来する虫垂標本が異常プリオン陽性と判定されたためだ。それ以外の年代の患者から得られた虫垂、扁桃標本はすべて陰性だった。

 また、英国でこれまでに見付かった167例のvCJDのうち、138例が1961~85年生まれの人々だったことから、BSE汚染牛肉製品に暴露したリスクが最も高いのはこの年代と考えられている。

 著者らは、vCJDに関する調査を目的として組織標本を保管している英保健省の下部機関NATAから、英国とスコットランドで選択的な扁桃摘出術を受けた患者に由来する扁桃組織を得た。

 扁桃組織に存在するPrPCJDは、免疫組織化学染色または免疫ブロット法で検出できるが、より効率を高めるため、著者らは、ヒト標本に適用できる酵素免疫測定(EIA)の開発を企業に依頼した。そしてMicrosense Biotechnologies社とBio-Rad社がそれぞれEIAを開発、第一段階のスクリーニングにはそれらを利用した。両社の2通りのEIAで陽性または陽性に近い陰性という結果が得られた標本に対して、免疫組織化学染色と免疫ブロット法を適用してPrPCJDの存在を確認する方法を採用した。

 2008年9月までに6万3007標本の検査を終えた。うち1万2753標本が1961~85年生まれの集団に由来しており、1万9908標本が牛肉または牛肉加工品を介した暴露リスクが引き続き存在していた1986~95年生まれの集団由来だった。

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