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BMJ誌から
鍼治療の疼痛軽減効果はメタ分析でも不明確
臨床的に意義のあるレベルの効果は見られず

 治療に関する無作為化試験は設計が難しい。対照群にどのような手技を行うか、どのように盲検化すればよいのかなど、課題は尽きない。

 デンマーク・ノルディックコクランセンターのMatias Vested Madsen氏らは、疼痛緩和を目的とする鍼治療の無作為化試験を対象にメタ分析を行い、鍼治療で臨床的に意義のある改善は見られない、との結論を得た。さらに、鍼群と偽鍼群を比較した場合より、偽鍼群と鍼治療なし群を比較した場合の方が、効果の差は大きいことを示した。詳細は、BMJ誌2009年2月7日号に報告された。

 これまでに行われた無作為化試験の結果は、おそらくバイアスの存在により、一貫した結果を示せていなかった。そこで著者らは、鍼と偽鍼の疼痛緩和効果を調べるとともに、対照として用いられた偽鍼のタイプの差が結果に及ぼす影響についても評価すべく、系統的レビューとメタ分析を実施した。

 コクランライブラリー、Medline、Embase、Biological Abstracts、PsycLITに2008年1月1日までに登録された研究から、疼痛軽減を目的として、患者を無作為に鍼治療、偽鍼、治療なしに割り付けた試験を選出。経皮的電気神経刺激法(TENS)は除外した。

 現在のところ、偽鍼の定義はない。ツボでない部位に鍼を打つ方法、鍼を打ったと思わせて実は皮膚を通過させない方法などが用いられていた。著者らは、挿入部位、鍼のサイズ、挿入深度、皮膚通過の有無などに基づいて、生理的な影響が現れる可能性を推定し、異なるタイプの偽鍼を分類した。

 患者自身の自己申告(VASやその他のスケールを使用)に基づいて痛みの程度の変化を評価していた研究を選んだ。

 痛みの原因、用いられた疼痛評価指標、登録患者数、治療期間、治療回数、併用された治療に関する情報とともに、鍼治療と偽鍼の実施方法について詳細に調べた。

 患者に対する盲検化が完全で、脱落者が全体の15%未満だった場合を「バイアスのリスクが低い研究」と判定した。

 条件を満たした13件の研究に登録された3025人の患者を分析対象とした。患者は、緊張性頭痛、偏頭痛、腰痛や、変形性膝関節症、線維筋痛症による痛み、腹部の術後瘢痕疼痛などを訴えていた。大腸内視鏡検査時の疼痛軽減に鍼を用いた研究もあった。治療期間は1日から12週間まで幅広かった。

 割り付けが適切に秘匿されていた研究は8件、患者の盲検化について明確な情報があったのは10件だった。治療を行う医師の盲検化はすべての試験でなされていなかった。また、治療なし群は盲検化されていなかった。

 偽鍼については、2件が、鍼が皮膚を通過しない方法を、残りの11件は皮膚を通過する方法を用いていた。皮膚通過法のうち7件はツボ以外の場所に浅く鍼を打っていた。4件はそれ以外の方法を使用していた。

 すべての研究の登録者に対して、鎮痛薬投与、理学療法の適用など標準的なケアが行われていた。

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