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BMJ誌から
低用量スタチンで冠イベントリスクが約80%低下
約2000人の家族性高コレステロール血症患者における検討

 家族性高コレステロール血症と診断された患者には、スタチンが第1選択薬となる。しかし、スタチンを投与しなかった場合に比べ、どの程度の効果があるのかは明らかではない。そこで、オランダErasmus大学医学部のJorie Versmissen氏らは、スタチンが承認された直後から患者を追跡する方法で、スタチン使用の有無と冠イベントの関係を分析し、スタチン治療がこの疾患の患者の冠イベントリスクを約80%低下させることを示した。詳細はBMJ誌2009年1月24日号に報告された。

 家族性高コレステロール血症は単一遺伝子疾患で、患者には冠疾患リスクの大幅な上昇が認められる。多くの患者にスタチンが投与されているが、偽薬を用いた比較対照試験は行われていない。スタチンを投与しない対照群の設置は倫理的に認められないからだ。

 そこで著者らは、スタチン使用開始時期が異なる集団の追跡データを利用して、この薬剤の冠イベント一次予防効果を使用者と非使用者の間で比較した場合と類似した情報を引き出そうと試みた。

 1989~2002年にオランダの脂質異常症専門外来を持つ27施設を受診した家族性高コレステロール血症患者の中から対象者を選んだ。1990年1月1日以前に冠疾患の既往がなく、スタチン使用歴もなかった1950人を選出し、オランダでスタチンの使用が可能になった直後の1990年1月を開始点として、平均8.5年間追跡した。

 患者は、当初からスタチン投与が行われたグループ(使用群)とスタチン投与が遅れて開始されたグループ(当初は投与されていなかった:非使用群)に分けた。

 主要アウトカム評価指標は冠イベントに設定。以下の1)~4)の条件のうち、1つ以上を満たす場合をイベント発生と判断した。

 1)心筋梗塞:古典的な症状が15分を越えて持続 / 心電図に特徴的な異常が存在 / 心筋の損傷を示す酵素値が正常域上限の2倍超に上昇、の2つ以上が該当
 2)経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または他の侵襲的な治療の適用
 3)冠動脈バイパス術施行
 4)狭心症:古典的な症状と共に以下のいずれかが明瞭な結果になった場合。運動負荷試験/心筋シンチグラム/ドブタミン負荷心エコー/冠動脈血管造影(70%超の狭窄)

 スタチンの使用を時間依存的な変数としたCox比例ハザードモデルを用いて分析した。

 1990年1月にスタチンの使用を開始していたのは413人(21%)の患者。その後1294人(66%)がスタチンの使用を開始した。使用開始の遅れは平均4.3年だった。残りの243人は追跡期間中にスタチン治療を開始していなかった。

 著者らは、1990年1月にスタチンを使用していなかった計1537人をスタチン非使用群とし、使用群の413人と比較した。

 使用群の平均年齢は非使用群より3.5歳高かった。総コレステロール値とLDLコレステロール(LDL-c)値も使用群で有意に高かった(いずれもp<0.001)。HDLコレステロール(HDL-c)値は有意に低く(p=0.02)、高血圧患者の割合は有意に高かった(11%と3%、p<0.01)。

 シンバスタチン(平均用量は33mg/日)を使用していた患者1167人では、LDL-c値はスタチン使用開始前に比べ44%低下し、アトルバスタチン(平均用量49mg/日)を使用していた211人では49%低下していた。一部の患者はプラバスタチンまたはフルバスタチンを使用していた。

 使用群の追跡期間中の総コレステロール値の平均は5.9mmol/L、LDL-c値の平均は4.0mmol/L、HDL-c値の平均は1.28mmol/Lだった。

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