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BMJ誌から
パルスオキシメーターが先天性心疾患の発見に有用
退院前のスクリーニングで動脈管依存性循環の診断精度が向上

 先天性心血管奇形は生産児に一定の割合で存在するが、かなりの患者が通常の新生児検査で見逃されている。スウェーデンQueen Silvia Children's HospitalのAnne de-Wahl Granelli氏らは、外見上は健康な新生児に対し、退院前に行われる通常の検診に加えて、パルスオキシメーターを用いたスクリーニングを実施すると、動脈管依存性循環の診断精度が向上することを明らかにした。詳細は、BMJ誌2009年1月17日号に報告された。

 動脈管依存性循環は生産児1000人当たり1~1.8人に見られるが、約3割の患児が診断を受けぬまま退院し、循環虚脱により病院に運び込まれるか、自宅で死亡している。

 病院にいる間に動脈管依存性の循環を検出できる非侵襲的なスクリーニングの手段があれば、退院後に死亡する患者は減らせるはずだ。著者らは以前から、パルスオキシメーターをスクリーニングに使用した場合の有効性の評価に取り組んできた。

 動脈管の前後(右手の手のひらといずれかの足)の酸素飽和度を測定する方法で先に行ったケースコントロール研究では、陽性の判定基準として「酸素飽和度が95%未満、または2カ所の測定値の差が3%超」が適切であることが示された。また、パルスオキシメーターのタイプが異なると、検出率と偽陽性率に影響が及ぶことを発見した。

 そこで今回、この判定基準と最新のパルスオキシメーター(マシモ社SETラディカル ver.4)を用いた大規模な前向き多施設試験を実施して、感度や偽陽性率を評価し、費用対効果について考察した。

 著者らは、スクリーニング研究の目的を、「スクリーニングの動脈管依存性循環診断精度を明らかにし、新生児身体検査のみの場合と検出率を比較し、スクリーニングの追加実施により行われることになる過剰な心エコー検査の件数を明らかにすること」とした。さらに、続いてコホート研究を行い、スクリーニング実施地域と検診のみの参照地域の動脈管依存性循環検出率、未診断の動脈管依存性先天性心疾患による突然死の発生率を比較しようと考えた。

 前向きスクリーニング研究は、スウェーデンWest Gotalandの5つの産科部門で2004年7月1日から2007年3月31日まで行われた。この間の生産児のうち、3万9821人がスクリーニングを受けた。新生児検診のデータもそろっていたのは3万8429人だった。

 3回の測定結果がいずれも陽性となれば、同日中に心エコー検査を実施。酸素飽和度が90%以下であれば即座に心エコー検査を指示した。

 新生児検診は通常通り行い、a)先天性心疾患なし、b)先天性心疾患の弱い疑いあり、c)先天性心疾患の強い疑いあり(心エコー検査が必要または不要)、のいずれに該当するかを判断した。酸素飽和度が90%以下だった患者については、検査結果があらかじめ医師に告げられたが、それ以外の小児の検診は、測定値を知らない医師によって行われた。

 スクリーニング研究の主要アウトカム評価指標は、パルスオキシメーターを用いたスクリーニングを行った場合と新生児検診のみの動脈管依存性循環診断の感度と特異性、陽性的中率(PPV)、陰性的中率(NPV)、尤度比に設定された。

 スクリーニングは生後38時間(中央値)で行われていた。

 介入地域では、最終的に29人の新生児が動脈管依存性循環ありと診断された。28人には完全なスクリーニングデータが存在していた。18人(64%)はスクリーニングで陽性判定を受けていた。3回の測定を待たずに心エコーが行われ、大動脈縮窄症と診断された新生児が1人いたため、外見上は健康に見える小児29人中19人(66%)がスクリーニングをきっかけに動脈管依存性循環の診断を受けていたことになる。だが、実際には、スクリーニングで陽性判定を受けながら心エコー検査を受けないまま退院した患者が1人存在していたため、現実的な検出感度は62%(29人中18人)だった。

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