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BMJ誌から
小児の虐待による骨折を見分けるポイントとは
複数個所の骨折、肋骨骨折などは要注意

 虐待が疑われる小児骨折のうち、実際に虐待が原因であるケースはさほど多くはないだろう。だが、虐待を見逃すと被害者はさらに傷を負うことになり、最悪の場合には死亡する危険性もある。英Cardiff 大学のAlison M Kemp氏らは、これまでに行われた後ろ向き横断研究を対象にメタ分析を行い、虐待に起因する骨折に高頻度に見られるいくつかの特徴を同定した。詳細はBMJ誌電子版に2008年10月2日に報告された。

 乳幼児が虐待によって骨折しても、患者自身は口頭で説明できない。著者らは、虐待早期発見のためのエビデンスベースのガイドラインを作製したいと考え、小児の骨折の中から虐待に起因するものを見分けるために役立つ特性の同定を目指して系統的レビューを実施した。

 2007年5月までに文献データベースに登録された研究や学会の抄録を幅広く検索、18歳未満の小児に発生した身体的虐待に起因する骨折とその他の原因による骨折を比較した研究を選出した。

 検出した研究は、計32件。そのうち26件の横断的研究をメタ分析の対象にした。すべてが病院ベースの後ろ向き研究で、78%が米国で行われていた。

 患者の年齢、組み込み条件、比較の対象としている骨折の部位やタイプなどにおいて、研究間の差は大きかった。

 骨折の原因が虐待とされているケースは、確実性の高い症例(証拠がある、目撃者がいるなど)から、虐待が疑われるにとどまる症例まで5段階に分けた上で、全体を虐待の被害者と疑い例に2分した。

 骨折が虐待に起因する確率は、交通事故や術後の骨折など、虐待以外による骨折であることが明白な症例を虐待なし群から除いて、診察時に原因が特定できない症例に占める虐待被害者の割合として計算した。

 骨の部位ごとに虐待の可能性を検討した。

 大腿骨骨折に関する研究のうち、メタ分析に組み込む条件を満たした研究は13件で、15歳未満の小児1100人を対象としていた。うち222人は虐待の被害者と確認されており、120人が疑い例だった。これらを合わせて、大腿部骨折が虐待に起因する確率を調べると、0.43(95%信頼区間0.32-0.54)となった。疑い例を除くと確率は0.28(0.15-0.44)だった。

 虐待による大腿骨骨折患者とそれ以外の原因による骨折患者の平均年齢を比較するために十分なデータがそろっていた研究は5件。虐待の被害者の年齢はそうでない患者に比べ有意に低かった。

 骨折のタイプについても比較したが、横骨折、らせん骨折、斜骨折の頻度に差はなかった。

 次に、上腕骨骨折を調査対象にしていたのは6件の研究。メタ分析の対象として条件を満たしたのは4件で、3歳未満の小児154人を対象にしていた。うち30人は虐待の被害者で、23人は虐待疑い例だった。

 上腕骨骨折が虐待に起因する確率は0.54(0.20-0.88)、疑い例を除くと0.48(0.06-0.94)となった。

 骨折のタイプの分析では、上腕骨顆上骨折は、虐待以外の原因で発生する頻度が高いことが示唆された。

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