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BMJ誌から
降圧薬の心血管リスク低減効果は年齢によって異なるのか
65歳未満と65歳以上の間で有効性に差はなし

2008/06/05
大西 淳子=医学ジャーナリスト

 降圧治療心血管リスク低減効果は、患者の年齢によって異なるのだろうか。種々の降圧治療が達成できる相対リスク減少が65歳未満と65歳以上で異なるかどうかを評価した結果、年齢によって有意な差はないことが示された。Blood Pressure Lowering Treatment Trialists’ Collaboration(BPLTTC)に参加するオーストラリアSydney大学のFiona Turnbull氏らの報告で、詳細はBMJ誌電子版に2008年5月14日に掲載された。

 BPLTTC は、WHO(世界保健機構)とISH(国際高血圧学会)の共同委員会で、高血圧治療に関するメタ分析を行っている世界的な研究グループ。分析が前向きに行えるよう、試験採択基準を1995年に公開、患者個人のデータもすべて収集している。

 これまでに得られた観察研究の結果は、血圧と心血管リスクの間の関係は強力かつ直接的であること、高齢になると関係は弱まることを示している。たとえば、50~59歳の年代では、収縮期血圧が20mmHg下がると脳卒中リスクは62%低下するが、80~89歳ではリスク低下は33%に留まるとの報告がある。これは、年齢が高い患者では、降圧による心血管イベントリスク低減効果は小さいことを示唆する。

 しかし、降圧治療による心血管リスク低減レベルを評価した臨床試験では、年齢とリスク低下の間の関係を示す一貫したデータは得られていない。また、異なる種類の降圧薬の作用が、対象者の年齢によって異なるかどうかを調べた研究はほとんどないが、一部のガイドラインは、特定の年齢層の患者に対して特定の種類の降圧薬の適用を推奨している。世界的に高齢化が進む中で、年齢層ごとに最適の降圧治療が異なるならば、それを明確に知ることは重要だ。

 研究者たちは、主要な心血管イベントリスクを指標として、種々の降圧治療が達成できる相対リスク減少が65歳未満と65歳以上で異なるかどうかを評価するメタ分析とメタ回帰分析を実施した。

 分析対象にしたのは、無作為化試験で、降圧薬とプラセボ、または強力な降圧薬と作用が弱めの降圧薬、もしくは異なる種類の降圧薬同士を比較した試験。最低でも1000人-年の追跡が計画されており、BPLTTCの試験採択基準提示後に結果が報告された31件の試験を選出した。被験者は計19万606人で、65歳未満が9万6466人(平均年齢57歳)、65歳以上が9万4140人(平均年齢72歳)だった。

 主要アウトカム評価指標は、主要な心血管イベントに設定。イベントは、脳卒中(非致死的脳卒中または脳血管疾患死亡)、冠動脈疾患(非致死的心筋梗塞または突然死を含む冠動脈死亡)の総計とした。2次アウトカム評価指標は、脳卒中、冠疾患、心不全、心血管死亡、総死亡とした。

 対象となった研究では、以下の7通りの比較が行われていた。
(a)ACE阻害薬vsプラセボ
(b)カルシウム拮抗薬vsプラセボ
(c)強力な降圧薬vsそれより弱い降圧薬
(d)ARBを対照レジメンと比較
(e)ACE阻害薬を利尿薬またはβ遮断薬と比較
(f)カルシウム拮抗薬を利尿薬またはβ遮断薬と比較
(g)ACE阻害薬をカルシウム拮抗薬と比較

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