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ダウン症乳児への抗酸化サプリと葉酸の投与は利益なし
発達レベルに影響を与えず

 ダウン症児の発達遅延は、酸化ストレス葉酸代謝の異常に起因する神経系のダメージにより生じる可能性がある。そこで生後7カ月未満の乳児に抗酸化サプリと葉酸を与えることにより発達を促せるかどうか調べる無作為化試験を行ったが、すべての発達指標において利益を見いだすことはできなかった。英国London大学小児健康研究所のJill M Ellis氏らの報告で、詳細はBMJ誌電子版に2008年2月21日に掲載された。

 ダウン症は21番染色体のトリソミーが原因で発症する。小児患者の脳にみられる異常は、妊娠後期から生後間もない時期に生じるという報告がある。なぜそうした異常が起こるのかは明らかではないが、21番染色体上にコードされている2つの酵素、銅/亜鉛型スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)とシスタチオニンβ-シンターゼの活性上昇との関係が疑われている。

 SODの活性上昇は過酸化水素の増加を招き、神経細胞に酸化ストレスを与える可能性がある。また、シスタチオニンβ-シンターゼの活性が上昇すると、血漿ホモシステインやメチオニンなどが減少、葉酸トラップが起こって機能する葉酸が不足すると考えられる。in vitroでは、ダウン症胎児由来の神経細胞は、正常な胎児由来の細胞より早くアポトーシスに至るが、抗酸化薬を投与するとこれを防げるとする研究結果が報告されている。

 これらの知見に基づいて、これまでにも抗酸化薬と葉酸をダウン症児に投与する研究が複数行われたが、利益がより大きいと考えられる乳児を対象とした質の高い研究はなかった。そこで著者らは、ダウン症の乳児に対する抗酸化薬または葉酸、もしくはこれら両方の投与が、精神や運動能力の発達、言語の発達に影響を及ぼすかどうか評価する無作為化比較試験を行った。

 対象は、イングランド中部、南西部、大ロンドン在住の生後7カ月未満のダウン症患者156人(平均年齢は生後4.2カ月)。無作為に4群に分け、抗酸化サプリ群(40人)にはセレニウム10μg、亜鉛5mg、ビタミンA0.9mg、ビタミンE100mg、ビタミンC50mgを、葉酸群(36人)には葉酸0.1mgを、併用群(40人)にはこれらすべてを、プラセボ群(39人)にはプラセボを、毎日経口投与した。すべて粉状とし、食物や飲料に混ぜて摂取させた。用量は1歳の誕生日を境に30%増量した。

 服薬遵守率は、血中ビタミンE濃度と親に対する聞き取り調査の結果を元に推算した。

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