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SSRIの処方制限は若者の自殺と自傷を増やさず
英国の18歳以下の若者集団を対象とした研究

 英国の18歳以下の若者集団を対象に、自殺と自殺未遂の発生率に選択的セロトニン吸収阻害薬SSRI)処方制限が及ぼした影響を調べた結果、SSRIの使用は半減している一方、自殺や自傷の頻度に影響は認められないことが明らかになった。英国Bristol大学のBenedict W Wheeler氏らの報告で、詳細はBMJ誌2008年2月14日号に掲載された。

 英MHRA(医薬品医療製品規制庁)は2003年6月、18歳以下の患者にはSSRIのパロキセチンを禁忌とした。この薬剤を使用した若者の自殺念慮や自殺行動リスクの上昇を示す研究結果を検討した末の判断だった。その後も検証を続けたMHRAは、2003年12月、フルオキセチンを除くSSRIを若者に適用した場合のリスクと利益のバランスは好ましいものではないと結論した。国際的にも同様の措置が広く行われ、青少年へのSSRIの処方は大きく減少した。それ以降、若者に対する抗うつ薬投与のリスクと利益に関する活発な議論が行われてきた。SSRIの処方制限により、うつ病による自殺念慮や自殺行動が増えた、とする国もあった。

 今回著者らは、SSRIの処方の変化が、自傷と自殺の頻度に及ぼした影響を調べる時系列研究を行った。SSRI処方の推移については英国の12~19歳の集団に関するデータ、自殺による死亡はイングランドとウェールズの12~17歳の集団に関する情報、自傷による入院はイングランドの12~17歳の集団に関する情報を入手し、分析した。主要アウトカム評価指標は、自殺による死亡と自傷による入院に設定した。経年変化が有意かどうかは、Jointpoint回帰分析により判定した。

 対象集団10万人当たりの抗うつ薬の処方人数は1999年から2003年の間に2倍になっていた。しかし2004年から2005年の間に急速に減少、2005年には1999年のレベルに戻った。

 この大きな変化は、自殺と自傷に影響を及ぼさなかったようだ。1993年から2005年にかけ、12~17歳の10万人当たりの自殺または自殺と見られる死亡の頻度は、男女ともに安定して減少傾向にあった。この間の年間減少率をJointpoint回帰モデルにより推算すると、男性が-3.9%(95%信頼区間-6.2から-1.5%)、女性が-3.0%(-6.6から0.6%)。2003年以降の減少率に実質的な変化は認められなかった。自殺と見られる死亡を除いて明確な自殺のみを対象に分析しても、結果は同様だった。

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