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現在の世界的結核管理戦略は不十分
地域ごとに再発率に大きな差あり

 現在の世界的な結核管理戦略の中心は、確実な服薬を実現するという直接監視下短期化学療法DOTS:Directly Observed Treatment Short Course)※1だ。DOTSにより結核治療に成功した患者の再発率を調べる系統的レビューの結果、DOTSの長期的有効性に関する十分なデータがいまだにないこと、再発率が0~14%と幅広いことが明らかになった。オーストラリアMelbourne大学のHelen S Cox氏らの報告で、詳細はBMJ誌電子版に2008年2月4日に掲載された。

 世界保健機関(WHO)がDOTS戦略を開始したのは1995年で、2005年までに187カ国がこれを導入している。DOTSの普及開始から10年を超え、何百万人もの患者がこの戦略に沿って治療を受けている。しかし、日常的に行われている標準的なDOTS戦略により、患者が長期的に治癒の状態を維持できるかどうかについて調べた研究はほとんど無い。

 WHOは、「DOTSを適用した患者の治療成功率は84%」と報告している。しかしDOTSの場合、喀痰塗抹検査の結果が陰性でなくても、治療失敗を示すエビデンスがなければ治療完了となる。また、一部地域で、薬剤感受性菌感染患者でも、DOTS後の再発率、死亡率は高いという報告があった。

 そこで著者らは、DOTSの標準的な戦略が、患者に長期的な治癒状態をもたらすのかどうかを調べることにした。そしてDOTSの標準レジメンが適用され治療成功と判断された後の患者を追跡して再発について調べた研究を対象に、現行のアプローチが適切であることを示す十分なエビデンスがあるかどうかを調べる系統的レビューを実施した。

 DOTSの標準レジメンは、2カ月の集中治療(イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトールの4剤を使用)と、これに続く4カ月間の維持療法(リファンピシンとイソニアジドの2剤を使用)からなる。

 集中治療、維持療法のどちらの期間も、毎日投与または週3回投与のいずれかを用いることができる。また、集中治療の間、エタンブトールはストレプトマイシン注射に置き換えることができる。これらを組み合わせた、全期間毎日治療(エタンブトールを使用)、全期間毎日治療(ストレプトマイシンを使用)、全期間週3回治療(エタンブトールを使用)、全期間週3回治療(ストレプトマイシンを使用)、集中治療期間は毎日、維持療法の間は週3回治療(エタンブトールを使用)、集中治療期間は毎日、維持療法の間は週3回治療(ストレプトマイシンを使用)の6通りのレジメンンのいずれかを適用し、当初の治療に成功したが追跡期間に再発が見られた患者の割合を主要アウトカムとしている研究を文献データベースその他から選出した。

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