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親に対する育児教育プログラムは小児の問題行動を減らすか
オーストラリアの母子733組を対象とした研究

 就学前の小児に行動上の問題が現れることを予防するために、リスクを問わず、生後12カ月程度ですべての母親にペアレンティングプログラムを適用する無作為化試験が、オーストラリアで行われた。生後24カ月までの子供の行動と、親の育児姿勢、母親の心の健康に対する影響が評価されたが、プログラムの利益は大きくなかった。オーストラリアRoyal Children’s HospitalのHarriet Hiscock氏らの報告で、詳細はBMJ誌2008年1月31日号に掲載された。

 4~17歳の小児の7人に1人が行動上の問題を抱えているといわれる。小児の行動上の問題は、反抗や攻撃性といった外面的なものと、不安やうつ、引きこもりなどの内面的なものに分類される。治療を受けないままでいると、就学前に問題があった小児の約半数がその後、心の健康に問題を抱えるようになる可能性がある。対策として、行動上に問題が現れた時点での管理や、問題が見られた小児を対象とする二次予防が行われているが、すべての小児を対象とする一次予防も有望と期待されている。

 このような中で親に対するペアレンティングプログラムは、小児の行動異常の治療において有効と報告されている。このプログラムは、子供の正常な発育に関する知識を親に与え、子供の行動に悪影響を及ぼす子育てやしつけを減らし、良い影響を与える親の行動を増やすことを目標としたものだ。ただし、費用と時間がかかり、訓練を積んだ指導者を必要とするため、実施対象はごく限られている。そのため、ハイリスク家族のみならずあらゆる母子を対象にその有効性を調べた質の高い研究は行われていなかった。

 著者らは、プライマリケアでペアレンティングプログラムを広く提供することにより、子供の行動上の問題を予防し、子育てをより良いものにし、母親の心の健康を向上させることができるかどうか調べる無作為化試験を行った。

 ビクトリア州にある40のプライマリケアのナーシングセンターに定期検診にやってきた母親に、試験への参加を呼び掛けた。7カ月の時点で、社会人口学的情報、母親の心の健康状態、家庭に存在するストレスを調べる質問票に回答を依頼、情報が得られた母子733組を登録。329組の母子を介入群に、404組を対照群に割り付けた。12カ月時には、子育てスタイルとパートナーとの関係について両群から回答を得た。生後24カ月時に追跡を完了したのは656組。

 介入群には、プログラムのために訓練を受けた、乳幼児検診を担当する看護師と、ペアレンティングの専門家が共同で、構造的なセッションを生後8カ月時と12カ月時、15カ月時に提供。用いられたプログラムは、子供の発達に対する親の過度の期待、厳しいしつけ、母親的養育的な心の欠如、という3つの修正可能なペアレンティング危険因子に焦点を当てた。

 

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