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easl2015

EASL2015に参加して●小俣政男氏(山梨県立病院機構理事長/東京大学名誉教授)
C型肝炎は今後、全例で著効達成を目指したい

2015/05/15
談話まとめ:欧州肝臓学会取材班

山梨県立病院機構理事長の小俣政男氏

 C型肝炎の治療は相当な速さで進歩しています。国内の製薬企業が開発していれば、新規薬剤の開発状況や関連情報はおのずから国内に流布されますが、海外の製薬企業からの情報はやはり少ないと思います。C型肝炎でインターフェロンを併用しない治療法(インターフェロンフリー療法)として用いる経口薬は現在開発中のものを含め、海外の企業が開発しているものばかりです。ですから、たとえ日本で治験を実施していても、臨床医は努力して勉強しないと、世界から取り残される可能性があるように感じています。専門性が高まっているのでキャッチアップするのはなかなか大変ですが、海外の学会にも積極的に参加すべきでしょう。

 さて、今回の欧州肝臓学会(EASL2015)での発表内容を見ていると、C型肝炎関連の話題が今年も多く、治療法の選択が主要なテーマの1つになっています。インターフェロンフリー療法で使用する直接作用型抗ウイルス薬(DAA)は数多く開発されており、作用する部位別に3つのカテゴリー、具体的にはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5A阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬に分けてしばしば説明されています。しかし、それよりも作用機序が全く異なる核酸アナログ製剤とタンパク阻害薬の区分の方が臨床的に重要です。

 核酸アナログ製剤はウイルス内部のRNAに直接入り込み、C型肝炎ウイルス(HCV)のRNA鎖の伸長反応を停止させる“チェーンターミネーター”として作用することで、核酸を分断します。それに対しタンパク阻害薬は、NS3/4AやNS5A、NS5Bといった部位に結合することでタンパク合成を阻害します。タンパクの形にフィットするような薬剤で立体的に覆い隠しているわけです。

 そのため、前者では変異はほぼ出現しませんが、後者では100%フィットするわけではないので、変異が一定の頻度で出現してしまいます。つまりタンパク阻害薬の場合、HCVの駆除に一定の割合で失敗し、その薬剤に対する耐性変異を獲得する可能性が高いのです。さらに、そうなると作用部位が同じタンパク阻害薬では治療できなくなる恐れがあります

治療成績が良好な核酸アナログ製剤
 このように、C型肝炎治療では耐性変異は極めて重要な課題になるため、耐性変異をほとんど出現させることなく治療できる核酸アナログ製剤が注目されるのです。同製剤であるソホスブビルを用いたジェノタイプ1型に対する国内第3相試験で、タンパク阻害薬であるNS5A阻害薬ledipasvirとの合剤を投与したところ、初回治療例、既治療例のいずれにおいても、投与終了12週後の著効率(SVR12)は100%でした(関連記事「C型肝炎に対する新規経口薬の著効率は100%、国内第3相試験より」)。その既治療例にはプロテアーゼ阻害薬、ペグインターフェロン、リバビリンによる3剤併用療法が無効だった患者が40例含まれていましたが、全ての患者が著効を達成しました(関連記事「プロテアーゼ阻害薬含む3剤併用療法無効の日本人C型肝炎、ledipasvir/sofosbuvirで全例著効」)。

 投与対象に関する制約もほとんどありません。国内第3相試験での登録条件を見ると、年齢の上限は設けておらず、BMIにも制限がなく、血小板数は5万/μL以上でした。推算糸球体濾過量(eGFR)が30%未満の方は除外されていましたが、これまでの薬剤より制約が少ないといえます。さらに、禁忌となる薬剤の組み合わせが少なく、使いやすい薬剤です。

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