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 英Nature誌がこれまでに何度か、日本の再生医療に関する制度を批判する記事を掲載してきたことは読者の方々もご存じでしょう。批判の内容はおおむね再生医療等製品の審査に関するもので、「ランダム化比較試験(RCT)のデータが無いのに承認するのはどうなのか」といった点が論じられてきました。

 特に話題になったのは2019年1月30日に掲載された記事で、その前月に承認がなされた自家間葉系幹細胞(MSC)製剤「ステミラック」が批判の的になりました。亜急性期の脊髄損傷を対象に承認されましたが、Nature誌は、ステミラックがRCTではなくシングルアームの試験結果によって審査され、試験データが未発表であることを理由に、「裏付けの無い治療が患者に提供されている」などと指摘しました。

 確かにステミラックの承認は、実薬群13例のシングルアーム試験のデータが基になっており、従来の医薬品に比べると症例数も非常に少ないです。しかし、患者に早期に医薬品を届けることがかなったわけで、自分は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の英断だと感じました。その後日本再生医療学会が、2019年3月6日にNature誌の批判に関して「日本の制度のような新しいアプローチも必要だと考えている」と意見を表明し、これで議論は収束したものと思っていました。

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