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 去る7月21日に米国立衛生研究所(NIH)のニュースリリースを見ていたら、1本の論文が目に留まった。Lancet誌の「Global minimum estimates of children affected by COVID-19-associated orphanhood and deaths of caregivers : a modelling study」だ。この論文では、21カ国の死亡率と出生率データを基に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連死亡がもたらした孤児や養育者を失った小児の数を推定している。

 発表したのは米国疾病予防管理センター(CDC)の研究者。両親と親権を持つ祖父母を主な保護者と規定し、同居する祖父母や年老いた親族(60~84歳)を2次養育者と規定して、COVID-19の過剰死亡率から、これらの保護者を少なくとも1人失った小児の数を推定した。分析対象にした国は、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、英国、フランス、ドイツ、インド、イラン、イタリア、ケニア、マラウイ、メキシコ、ナイジェリア、ペルー、フィリピン、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、米国、ジンバブエの21カ国だ。

 その結果、2020年3月1日から2021年4月30日までに、主な保護者を少なくとも1人失った18歳未満の小児の数は、少なく見積もっても世界で113万4000人(95%信頼区間88万4000-118万5000人)だった。また2次養育者も含めると、156万2000人(129万9000-168万3000人)の小児が少なくとも1人の家族を失ったと推定された。小児1000人当たりに換算して、保護者を失った小児が多いと推定された国は、ペルー10.2人、メキシコ3.5人、ブラジル2.4人、コロンビア2.3人、イラン1.7人、米国1.5人、アルゼンチン1.1人、ロシア1.0人などだった。なお、父親が死亡した小児の数は、母親が死亡した小児の数の2~5倍と考えられるそうだ。

 保護者を失った小児は、貧困、虐待、施設収容などのリスクが高くなる。論文の著者らは、国際的なワクチン供給を計画する際に、こうした要因も考慮した上で公平な供給を促進し、併せて心理社会的・経済的支援を考える必要があると指摘している。

 ジョンズ・ホプキンス大学が公表しているCOVID-19による死者数は、既に世界で415万人を超えているから、CDCの研究者が推定した保護者を失った小児の数が100万人を超えていても、実態から大きく外れていることはないだろう。

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