日経メディカルのロゴ画像

記者の眼

コロナワクチンとゲノム編集から考える「分かりやすい科学の伝え方」

 2021年7月23日に「東京オリンピック2020」の開会式が開かれました。そんな中、東京における新型コロナウイルスの新規感染者数は連日1000人を超えています。

 高齢者の新規感染者数や重症者数が増えていないのが救いで、やはりワクチン普及の効果は大きいことが日本でも認められているということですね。医療関係者の皆さんは、ワクチン2回接種を済まされた方がほとんどなのではと思います。

 集団免疫の獲得に向けてワクチン接種率の向上が課題であり、ワクチン接種の危険性を訴えるデマやフェイクが、SNS(交流サイト)などで拡散するのを抑えることが重要とされています。

 そんなデマの1つに「ワクチンに含まれるmRNAの塩基配列情報がヒトのゲノム遺伝子に組み込まれる(ので危険)」というのがあります。“荒唐無稽なデマ”の代表と位置付けられているかと思います。

 ヒトなどの生物のゲノム情報は、DNAの塩基配列情報がRNAの塩基配列情報に変換された後、この情報に基づいて、生物の主な機能分子である蛋白質が合成されます。蛋白質は20種類のアミノ酸が塩基配列情報に基づいて順次連結されたもので、それぞれ特有の立体構造を取ることによって、その機能を発揮します。

 この情報の流れは「DNA→RNA→蛋白質」と記載されます。セントラルドグマといわれる生命現象の大原則で「DNA→RNA→蛋白質」の順番に一方的に情報が受け渡されることを意味します。

 従って、日本で現在使用されている2種類の新型コロナワクチンを構成するmRNAの塩基配列情報が、DNAの塩基配列情報として伝えられヒトのゲノムに入り込むことはない、というわけです。

 ところで、この「記者の眼」コーナーの当方担当の前回(ゲノム編集で育種した健康トマトがこの春に登場、2021/3/15)でお伝えしましたように、2021年は日本におけるゲノム編集技術の社会実装元年となりました。

この記事を読んでいる人におすすめ