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記者の眼

ホルモン受容体陽性早期乳癌への遺伝子検査保険適用で思うこと

 早期乳癌の検体を用いて、21種類の遺伝子を調べ再発のリスクを評価する「オンコタイプDX 乳がん再発スコアプログラム」(OncotypeDX)が保険で利用できる日が近づいている。OncotypeDXは再発のリスクを予測する検査で、再発スコア(RS)は0~100の数値で示される。数値が小さいほど、再発のリスクは低く、大きいほど高くなるとされている。既に国内でも全額患者の自己負担で用いられており、早期のホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳癌患者を、再発のリスクスコア別に低スコア、中間スコア、高リスクに分類し、術後内分泌療法に加えて化学療法が必要な患者と不要な患者をえり分けるために使われている。

 乳癌診療ガイドラインにおいて、「CQ29.ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌に対して、多遺伝子アッセイの結果によって、術後化学療法を省略することは推奨されるか?」で「ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌で、リンパ節転移陰性であれば、OncotypeDXのRSが25以下の場合には術後化学療法を省略することは強く勧められる」とOncotypeDXはされていたが、保険が適用されず自費検査だったため、広く利用されていないのが現状だ。

 しかし、6月11日に開催された厚生労働省薬事・食品衛生審議会プログラム医療機器調査会でOncotypeDXの承認が了承され、この状況が大きく変わろうとしている。保険で利用できることになれば、従来は自費検査で、患者負担が高額になることを理由に検査を勧めなかった医師も避けられなくなる。患者の遺伝子レベルの再発のリスクに応じて、手術後の化学療法を選択する時代が本格化する。

 OncotypeDXを化学療法追加の判断に使用することが有用であると示した大規模試験の結果はここ数年相次いで報告されている。

 1つは、OncotypeDXの化学療法の効果予測を検討した前向き試験のTAILORx試験。TAILORx試験の対象は、HR陽性HER2陰性、リンパ節転移陰性、腫瘍径1.1-5.0cmまたは組織学的グレード分類でグレード2または3の場合は0.6-1.0cmとされていた。この試験の結果、RSが11-25の中間リスクの患者の浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)について、手術後に内分泌療法のみを行っても、内分泌療法と化学療法の併用に非劣性を示すと発表されている(関連記事)。また、年齢が50歳以下の患者には化学療法でベネフィットがある程度得られる可能性が示された。

 もう1つは、陽性リンパ節数が1から3個のHR陽性HER2陰性早期乳癌患者を対象にしたRxPONDER試験。同試験の結果、RSが25以下の患者において、標準的な内分泌療法に化学療法を上乗せすることは、閉経後患者には必要ないが閉経前患者には必要なことが昨年末に発表されている(関連記事)。

 これらの結果は、OncotypeDXによるRSを調べることで、術後に内分泌療法に化学療法を加えるべきかの判断ができることを示している。

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