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 仮想空間上で現実のような世界を疑似体験することができる、VR(Virtual Reality)技術。その技術は、ゲームなどのエンターテインメント分野や、観光分野などで実用化されている。そして、医療分野においてもデジタルセラピューティクス(DTx)のための強力なツールとして、活用の検討が進んでいる。

 VRとは、VR用に制作されたコンテンツを視聴して、あたかも自分がその世界にいるような臨場感を味わうことができる技術だ。VRの技術自体は1960年代から存在するが、市場に広く普及したのは、「VR元年」と呼ばれる2016年からと言われている。VR元年には各社から一斉にVR用のヘッドセット型デバイスが安価で発売された。2021年現在は、PCやスマートフォンなどの外部デバイスを必要とせず、単独で動作するタイプのヘッドセット型デバイスが人気だ。

 VRによる臨場感の高い体験が人の感情に働きかけることから、VRは医療分野の中でもメンタルヘルス領域での活用が期待されている。先日、うつ病患者を対象にしたデジタル治療VR(VRDTx)の開発に取り組む企業、ジョリーグッド(東京都中央区、上路健介代表取締役CEO)を取材した。同社は医療・福祉分野でVRのコンテンツ開発を手掛けるスタートアップだ。

 同社は2020年3月から、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センターと、うつ病に対するVRDTxの効果に関する研究を行っている。同研究は、VR用コンテンツを数人のうつ病患者に見せ、治療効果や悪影響の有無といった患者の反応を見るもの。試験結果は、近く論文で発表される見込みだ。また、2021年4月、ジョリーグッドは帝人と、うつ病に対するVRDTxの開発に向けて業務提携した。「プログラム医療機器」としての薬事承認を目指し、コンテンツなどの開発や臨床試験を共同で推進している。

 この、「うつ病に対するVRDTx」が目的としているのは、認知行動療法(CBT)の補助だ。CBTとは、うつ病や不安障害、統合失調症、パーソナリティー障害など精神疾患の治療目的で実施される心理療法の一つ。患者が医師や看護師などの医療者と対話(面談)することを通じて、自身の考え方や行動を変化させ、抱えている問題の解決を目指すというものだ。国内でもその有効性が認められ、一定の要件を満たしてCBTを実施した場合、2010年4月から診療報酬が算定できるようになっている。

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