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 東洋医学の専門医や漢方薬局などに限らず、臨床現場で汎用されている漢方エキス製剤。漢方薬については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、日本感染症学会が公開した「COVID-19感染症に対する漢方治療の考え方」において、軽症例から重症例まで、西洋薬とも併せて、複数の漢方薬の選択肢が示されるなど、評価されている面もある。

 プライマリ・ケアに漢方診療も取り入れており、医師だけでなく幅広い医療職や学生向けに「問診から選べる漢方薬ツールキット」(カイ書林、2020)(樫尾明彦、長瀬眞彦・著) などの著書もある給田ファミリークリニック(東京都世田谷区)副院長の樫尾明彦氏は、「COVID-19の流行で、以前よりもかぜ診療に漢方薬を活用する意義が大きくなった印象がある」と話す。患者の症状が「寒気がする、だるい」「体が重く疲れやすい」などの場合に、COVID-19の可能性はあっても、すぐに処方できる西洋薬は限られるが、漢方製剤は、かぜのフェーズ(時間経過)や発汗の有無などに応じて選択肢を考えられるためだ。もともと、かぜには西洋薬のエビデンスは少なく、処方はせずに様子を見るよう指導することも少なくないが、患者がかぜ症状でCOVID-19の不安を抱いて受診してきたときなどに漢方製剤を処方して症状が緩和するケースもあり、ニーズの高まりを感じているという。

 一方で注意点もある。「漢方薬は西洋薬に比べて副作用が少ないので安全」「ずっと飲み続けられる」──。こんなイメージが世間一般ではまだ根強いが、日経メディカル Onlineの調査では、約3割の医師が「漢方エキス製剤による副作用を経験したことがある」と回答している(関連記事:約3割が漢方製剤の処方で副作用の経験)。中でも甘草含有製剤については、偽アルドステロン症の副作用リスクが知られており、「漢方薬も必要がなくなれば減量や中止を検討」「内服を継続するなら定期的な血液検査が不可欠」と樫尾氏も強調する。

 頭痛外来で多くの頭痛患者を診ている、らいむらクリニック(千葉市若葉区)院長の來村昌紀氏も、専門とする頭痛やめまいにとどまらず、患者の希望に応じてコモンディジーズにも漢方エキス製剤を活用している医師の1人。処方を開始する際は、「添付文書の常用量より少ない量から開始し、副作用の有無を確認してから継続するか判断する」と話す。漢方製剤の副作用については、定期的な血液検査などの対応に加えて、地域の薬剤師会で講演したり、クリニックのYouTubeチャンネルで一般向けに伝えたりと、情報発信にも力を入れている。

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