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 アビガン(一般名ファビピラビル)は、最初の承認の時からすったもんだした薬だった。「A型またはB型インフルエンザウイルス感染症」の効能効果で承認申請が提出されたのは2011年3月。その年の10月に医薬品医療機器総合機構(PMDA)から出された最初の審査報告書には、総合評価としてこう記述されていた。

 「提出された資料から、本剤については、非臨床試験成績からヒトにおける催奇形性のリスクが強く懸念され、かつ有効性については頑健性の高い結果として示されていないと考えること、また、申請効能である季節性インフルエンザウイルス感染症においては既に他の治療薬があることも踏まえ、現時点ではリスクに対して得られるベネフィットが明確になっていないと考える。したがって、今般の申請における申請データパッケージでは、申請効能に対する本剤の承認は困難であると考える」

 その理由は、鍵となる国際共同フェーズ3試験の解釈の違いにあった。申請した富山化学(当時)は治験実施計画書に適合した集団を解析対象とし、最大解析対象者の1割弱を除外した。これに対しPMDAは、除外した集団も解析対象とすべきであり、そうするとオセルタミビル(商品名タミフル)との非劣性は証明されないとした。そしてこの齟齬は、3年におよぶ審査の最後まで解消することはなかった。

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