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 先日、首都圏の診療所に勤務する知人からこんな話を聞いた。ある事務職員の問題が発覚し、院長が退職勧奨をした。納得が行かない職員は、こう言って抗戦した。「私みたいに医療事務の資格を持っている人は、今、なかなか採用できないみたいですよ。本当に辞めてもいいんですか?」──。それでも院長は方針を変えず、本人は辞めていったそうだ。

 この話を聞いて、人材採用難を背景に職員が強気に出てきたという点で、いかにも今風だと思った。同様のケースは増えているようで、日経メディカル Onlineの連載「院長を悩ます職員トラブル大研究」でも、似たようなエピソードが紹介されている(関連記事:「転職をほのめかし要求を繰り出す職員に困惑」)。

 今から約10年前、リーマンショック後の不況時には企業が人材採用を絞り込み、診療所の事務職の求人にも多くの応募が集まった。「以前だったら応募してくれなかったような人たちが来てくれるんですよ!」。そんな声も、現場から聞こえてきた。ところが、その後の景気回復により人材採用が次第に難しくなり、医療・介護業界は採用難にあえいでいる。日経メディカルの姉妹誌『日経ヘルスケア』の2月号特集のテーマは「“超”採用難時代を乗り越える」。「超」が付くほど厳しい状況なのだ。

 医療機関の中でも診療所の事務職は、サービス業など他業種との競争を余儀なくされ、採用が特に難しくなっている。求人広告などで採用できず、人材紹介会社に頼るケースも多い。新規開業時に職員をなかなか確保できずに苦戦するケースも見られる。

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