20世紀に石油化学が発達するまで、地球上に存在していなかった物質「プラスチック」。それが今では大量に生産されたプラスチックがゴミとして廃棄され、処分しきれずに、あるいは洪水や津波で海に流され、生態系に大きな影響を与えていることが報道されている。ウミガメ、海鳥、アザラシなどの死体の胃袋から、誤って飲み込んだと思われるプラスチックが大量に見つかる例も後を絶たない。このままの状態が続けば、2050年頃には海洋プラスチックゴミの重量が海洋生物の重量を超えてしまうという推定もあるそうだ。環境汚染はますます深刻になっている。
しかし、昨年に報告されたある論文を読むまでは、プラスチックの問題が既に自分たちの暮らしに影響を与えている可能性に気づいていなかった。その論文とは、Ann Intern Med誌に掲載された「Detection of Various Microplastics in Human Stool: A Prospective Case Series」である。8カ国の健康なボランティアの便を調べたら、8人全員からマイクロプラスチックが見つかったという研究だ。これはもはや他人事ではなく、先進国で生活している普通の人が、食品や化粧品など身近なものから、日常的にマイクロプラスチックを摂取している可能性を示唆するものだ。
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