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記者の眼

正念場にさしかかるiPS細胞を用いた再生医療

2019/12/02
久保田 文=日経バイオテク
正念場にさしかかるiPS細胞を用いた再生医療の画像

 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の山中伸弥所長が見いだし、2012年のノーベル生理学・医学賞に輝いた、人工多能性幹細胞(iPS細胞)。2020年度の政府の予算編成に向け、最近では、iPS細胞関連の研究費が削減され、iPS細胞が岐路に立たされているといった報道も増えている。そのiPS細胞について、中でも、iPS細胞を用いた再生医療の現在地について、専門誌の記者という立場から改めて振り返ってみたい。

 iPS細胞は、一度分化した細胞にある遺伝子を入れることで作られる多能性の細胞だ。まるで時間を巻き戻すかのように細胞が初期化され、受精卵から作成される胚性幹細胞(ES)と同様、増殖を繰り返し、かつ、さまざまな組織、器官に分化できる能力を持つ。iPS細胞は、創薬や再生医療に応用できることから、国内では山中所長のノーベル賞受賞後、応用研究に手厚い研究費が付けられてきた。

 創薬への応用では、治療法のない難病の患者の細胞から、iPS細胞を作成。培養皿の中で難病の病態を再現して、そこにさまざまな既存の薬剤を添加することで難病に有効な薬剤を絞り込む研究が本格化している。進行性骨化性線維異形成症(FOP)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、既に

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