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 皆さんの医療機関では、消化器内視鏡や呼吸器内視鏡による検査の前に、患者に対して梅毒B型肝炎C型肝炎検査をルーチンで行っていないだろうか。帝京大学医学部名誉教授で元・日本臨床検査医学会理事長の宮澤幸久氏は、「その慣習はやめるべき」と主張する。以下にその理由を記す。

 その前に現状を整理すると、内視鏡検査前に行っている梅毒、B型肝炎、C型肝炎検査は本来、内視鏡を介した感染を防ぐために、今も多くの医療機関で保険診療として行われているものだ。人間ドックなどで内視鏡検査をする場合は、自費で数千円を患者から請求しているところが多い。社会保険診療報酬支払基金は、内視鏡検査前の梅毒B型肝炎C型肝炎検査を、保険診療で行うことを認めている。なお、同様の観点でHIV検査を内視鏡施行前にルーチンで行っている医療機関もあるが、保険診療は原則、認められていない(エイズ治療拠点病院に限り、算定を認めている審査機関もあるという)。

 この感染症検査に対する関連学会の見解は一致していない。日本環境感染学会など3学会による『消化器内視鏡の感染制御に関するマルチソサエティ実践ガイド』は、この感染症チェックに否定的な立場だが、日本呼吸器内視鏡学会の『呼吸器内視鏡診療を安全に行うために(Ver.4.0)』では「検査は有用」だとしている。先日、当サイトで日本消化器内視鏡学会の『消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドライン』に関するインタビュー記事(消化器内視鏡洗浄に「最低限のルール」を策定)を掲載したが、このガイドラインでは感染症チェックについて触れられていない。

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