つい先日まで、「ecosystem」という単語は「生態系」を意味する言葉だと思っていた。人間が輸入したり、タンカーのバラスト水に混じってやってきた生物が、原産地から数千kmも離れた土地に生息範囲を広げ、外来種の圧力により固有種の絶滅が心配されているといった状況を研究する生態学の用語だ。実際に英和辞典を引くと、今でもその意味が記載されている。

 ところがビジネスの世界では、別の意味でも使われている。複数の企業が協力して、それぞれが持つ技術力や資本力などの強みを生かし、時には業界の枠や国境を越えたビジネスモデルを発展させる仕組みのことをエコシステムと呼ぶそうだ。将来有望なベンチャー企業の立ち上げを支援し、大きなビジネスに育てる環境も「エコシステム」なのだという。IT企業の例で言えば、シリコンバレーが世界で最も有名なエコシステムということになろう。今、世界中で魅力的なエコシステムの集積地をつくる競争が行われている。医療分野で言えば、世界で群を抜くエコシステムの構築に成功したのが、米国のボストンだとされている。

ボストンは医薬品ベンチャーの聖地となるか?の画像

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