今年6月上旬に、米フィラデルフィアに取材に行く機会があった。世界最大のバイオのイベントであるBIO2019を取材するためだ。取材に行って実感したのは、革新的な医薬品、とりわけ遺伝子治療薬の実用化に沸く会場の熱気だ。

 米国で初の遺伝子治療は抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞治療薬の「KYMRIAH」で、2017年8月に承認された。その後、10月に同じく抗CD19のCART療法である米Kite Pharma社(米Gilead Sciences社が2017年8月末に買収)の「Yescarta」、12月には米Spark Therapeutics社のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療「LUXTRNA」が承認された。Luxtrnaはウイルスベクターに搭載した遺伝子を体内に直接投与するタイプの遺伝子治療で、米国でこのタイプとしては初の承認となった。さらに2018年8月には米Alnylam Pharmaceuticals社が開発したRNA干渉作用を持つ核酸医薬「Onpattro」が承認された。RNA干渉により遺伝子発現を抑制する核酸医薬の承認は世界初だ。加えて2019年5月には、スイスNovartis社傘下の米AveXis社が脊髄性筋萎縮症(SMA)を対象に開発していた遺伝子治療の「Zolgensma」もFDAから承認を取得している。

遺伝子治療に沸く米国と足をすくませる日本の画像

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