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 2月6日、バロキサビル マルボキシル(商品名ゾフルーザ)の耐性株がA/H1N1pdm2009からも検出された。2月15日には、新たに4株が報告され、検出率はAH1pdmで2.1%、A/H3N2亜型で17.5%と上昇した。全て薬剤投与例から分離されたものだが、耐性ウイルスが市中で流行するという公衆衛生上の懸念は消えていない。

 AH1pdm09からも検出されたことが明らかになった日に、著者は国立感染症研究所の村山庁舎に向かった。インフルエンザウイルス研究センターの高下恵美氏に、ゾフルーザ耐性株の現状について取材するためだ。

 国立感染症研究所と全国地方衛生研究所が共同で行っている抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランスによると、2月15日時点の抗インフルエンザ薬耐性株検出状況は表1の通り。AH3亜型に目を向けると、ゾフルーザ耐性株の検出率は17.5%(57株中10株)と20%に迫った。古くから使われてきたオセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)などのノイラミニダーゼ阻害薬での検出率はゼロであり、耐性化という指標で見る限り、ゾフルーザの分が悪い。

 AH1pdm09の方は、タミフルとペラミビル(ラピアクタ)でも耐性株が検出されている(表1)。しかし、それぞれの検出率は0.2%と少なく、ゾフルーザの2.1%(96株中2株)が目立ってしまう。

 高下氏に、AH3亜型の17.5%という数字は多いのではないかと尋ねると、「今のところは、予想の範囲内」との回答だった。小児を対象とした第3相試験(12歳未満)で23.4%(77例中18例)に、国際共同第3相試験(12~64歳)では9.7%(370例中36例)に、耐性マーカーであるアミノ酸変異(I38変異)が見つかっていたからだ。

 「ただ今後、遺伝子変異が重なって、より強力な耐性ウイルスが出現する可能性は否定できない」。こう話す高下氏は、引き続きサーベイランスを続けていかなければならないと強調。国際的にも既に、感染研も参加しているWHOの監視ネットワークが運用を始めていると明かした。

表1 2018/2019シーズン抗インフルエンザ薬耐性株検出情報
(国立感染症研究所)

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