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 病院における麻酔科医の採用動向に、変化が起きている。特定の病院に属さない「フリーランス麻酔科医」の活用から脱却し、週3日以上勤務する麻酔科医の確保に動く病院が目立ち始めたのだ。この変化の背景には、常勤麻酔科医を重視する方針を示した2018年度診療報酬改定と、麻酔科専門医資格の更新要件を変更した新専門医制度がある。

 急性期医療を担う医療機関にとって、麻酔科医の確保は手術件数、ひいては地域の医療提供体制、収益に大きな影響を及ぼす。そのため、麻酔科医の採用に難渋した医療機関が頼ってきたのが、フリーランス麻酔科医だ。2015年の日本麻酔科学会の調査結果によると、フリーランス麻酔科医を含む「外部の麻酔科医」に業務を委託している医療機関は、大学病院の39.2%、一般病院の60.5%に上る。

 麻酔科業務を外部委託することに関して、2018年度診療報酬改定の議論では、「術前・術後の総合的な管理や、多職種・他の診療科の医師との連携を外部の麻酔科医が円滑に行うことは困難ではないか」といった意見が示された。議論を受け、2018年度改定では、「診療の質を高める目的」で常勤の麻酔科医による総合的な医学管理と長時間の閉鎖循環式全身麻酔を評価し、「麻酔管理料」の増点と長時間麻酔管理加算の対象術式の拡大が行われた。

 さらに、2018年7月には、改定の動きを後押しするように日本麻酔科学会と日本専門医機構が、麻酔科専門医資格の更新要件を変更。常勤並みの勤務形態を重視し、「(資格更新の)申請時点で単一の医育機関病院や病院施設に週3日以上勤務し、麻酔科関連業務に専従していること」を追加した。

 上記の制度の動向を踏まえ、麻酔科業務の外部委託を減らす目的で、一般的な週4・5日勤務の常勤医に加え、週3日の常勤医の採用を一部の医療機関が始めたのだ。

 日経ヘルスケア2月号では、上記のような麻酔科医の採用動向の変化を受け、提供する医療の質を担保しながら麻酔科医を安定的に採用している2つの医療機関を紹介した。その共通点は、常勤麻酔科医が望む多様な働き方への柔軟な対応と、大学病院などの医育機関との関係づくりだった。

 麻酔科医の多様な働き方に柔軟に対応する目的で行われていたのが、繰り返し麻酔科業務を委託できる非常勤の麻酔科医の確保だ。繰り返し同じ非常勤の麻酔科医に依頼をすることで、麻酔科医の技量の確認、院内の職員との関係の構築を行う。そうした非常勤麻酔科医を活用すれば、常勤医のシフトに余裕を持たせたり、子育てや親の介護などで当直勤務が困難な常勤麻酔科医をサポートする診療体制も構築できる。

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