日経メディカルのロゴ画像

 国の基準とは別に都道府県や市町村が独自の要件を定める、いわゆる「ローカルルール」。医療機関や介護施設が満たすべき施設基準や診療・介護報酬の算定要件について自治体が独自に解釈して運用すれば、現場で混乱を招きかねません。

 ではローカルルールに対する国の姿勢はというと、医療と介護で対照的なように思えます。

 例えば、医療機関への「適時調査」。この調査は、診療報酬の基本診療料や特掲診療料の施設基準を届け出た保険医療機関を対象に、要件の順守状況などを厚生局の担当者が確認するものです。かつては実施方法、実施間隔、確認事項などについて厚生局単位、都道府県単位で温度差があり、病院側から「不公平だ」との不満が数多く寄せられていました。

 しかし2016年度に運用が見直され、厚生労働省の実施要領に沿って全国統一基準で適時調査が行われるように改善。実施要領では調査項目だけでなく実施頻度、病院への通知の仕方なども定められ、2018年4月からは厚労省のウェブサイトで公開されました。これによって、以前のような不満や混乱は解消しつつあるようです。

名古屋市がサ高住に24時間の職員配置求め、業界に波紋
 これに対して、介護分野ではローカルルールが幅広く設けられています。例えば、市町村内に住む要介護者を対象とする介護保険の地域密着型サービス。事業者がサービス提供を始める際には、市町村に申請して事業所ごとに指定を受ける仕組みですが、その指定基準は厚労省が示した「標準」をベースに市町村の裁量で緩和・厳格化することが認められています。事業所数が既に過剰であれば、指定しないことも可能です。

 国内には介護施設の数が過剰になっている自治体や、逆に介護施設が不足している自治体など、様々な事情を抱えた地域があります。そうした点を踏まえれば、各自治体が独自にルールを定められる介護制度のあり方は正しいのでしょう。

 ただ最近、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)をめぐって起きたローカルルールの問題が気になっています。発端となったのは、自治体が有料老人ホームの運営を指導する際に準拠するガイドラインです。

 国の統一的なガイドラインとしては、厚労省が策定する「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」があります。都道府県・政令指定都市・中核市はこの標準指導指針を基に、それぞれの指導指針を作成するのが通例です。2018年4月には厚労省が標準指導指針を改正して入居者の身体拘束禁止などの規定を強化し、7月1日に適用を開始。大半の都道府県・政令指定都市・中核市も、厚労省の標準指導指針の改正内容を参考にそれぞれの指導指針を見直して運用をスタートしています。

この記事を読んでいる人におすすめ