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続く医学部進学ブーム

 東京医大事件を契機として、医学部入試の在り方に、世間の注目が集まっている。東京医大に次ぎ、昭和大学でも不正入試があったことが明らかとなり、全国医学部長病院長会議は10月16日に記者会見を行い、医学部入試における公平性についての指針を1カ月以内にまとめる考えを示した。文部科学省も本格調査に乗り出し、監視の目も光っている。来年の医学部入試は、女性が合格しづらかった医学部の女性合格率が上がったり、多浪生は絶対入れなかった医学部に多浪生が多数合格したりと、その様相が大きく変わるかもしれない。

 そもそも、東京医大事件が大きな社会問題となった理由の一つに、加熱する医学部進学ブームがある。ブームは出版される医学部進学本の多さでも見てとれる。参考書や受験本の出版社ばかりでなく、大手新聞社による医学部受験関連のムック、大学医学部をテーマにした新書など、まさに百花繚乱の様相を呈している。

 背景には、相次ぐ私立医大の学費下げと安定志向がある。「とにかく医師になれば、将来に渡って高収入が約束される」と考える受験生や父兄が増えているのだ。また、「結婚しようがしまいが、一人でも子どもを余裕で育てていける“女に向いた職業”」として、女子高生やその親たちが当然のように医学部をターゲットし始めたことも、ブームに拍車をかけている。かつては、優秀な高校生は国公立医学部へ、裕福な家庭や医師を親に持つ高校生は私立医学部へ、といった流れがおおまかにあったが、今では中堅私立医学部でも偏差値は65を超えている。旧帝大の工学部、理学部に行ける学力でも、私立医大に合格できるとは限らない。そんな状況も、不正入試の誘引となったようだ。

 そのブームにあやかろうと、日経メディカル Onlineでブログ「子どもを医学部に入れよう!」を掲載している進学塾ビッグバンの松原好之氏と『親子で目指す医学部合格』(日経メディカル開発から2018年11月に発刊予定)という書籍の編集作業を進めている。

 その編集過程で色々調べているうちに、今、本当に医学部に行ってもいいのか、という疑問が頭をもたげてきた。多くの医学部進学本は、医師になってからの華やかな活躍ぶりばかりを書き立てているので、ここでは、別の視点から、医師の将来を考察してみたい。おそらく、医師は今ほどおいしい商売でなくなります。

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