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 こちらの「記者の眼」コーナーではおそらく10度目となります河田と申します。日ごろはバイオテクノロジーの専門誌「日経バイオテク」(1981年創刊)の編集などに携わっています。

 今回はまず、不正入学試験問題とされる、医学部医学科の入学試験制度の問題について感想を述べます。

 東京医科大学で発覚した問題が2018年8月から話題が広がり、10月2日に成立した第4次安倍改造内閣で、文部科学大臣に就任した柴山昌彦氏が10月12日に調査の進捗を公表しました。

 医学部医学科がある全国の81国公私立大学について2013年度から2018年度の入試を対象に調査を実施し、性別などによる加点といった不正を認めた大学はなかったとのことですが、30ほどの大学に訪問調査を行って入試関係の資料を調べてみたら、いくつかの大学においては女子や浪人生に不利な扱いをするなどの疑いが浮上したとのことです。

 東京医科大の問題が判明して直ぐのころ、医学部対策に特化した予備校の説明会に参加したところ、医学部医学科の入学試験は、実は“就職試験”の意味合いが強い、という説明を聴き、なるほど、そういう見方もできるのだと妙に納得しました。

 運用している入学試験の制度を公開して公平性を保つことは、特に国公立大学では大切かと思いますが、入学試験が実質的に就職試験、というのは新しい発見でした。当方は工学部の出身なので、社会に出るときは就職試験・入社試験がありましたが、医師にとっては入学試験が大切な就職試験に相当するのだと思います。

 米国では、リクルートにおいて、年齢や性別の記入欄は無い、というか「あってはならない」と聞いたことがありますが、日本社会でもだんだんそのようになっていくのではと思います。

 もっとも多くの税金をつぎ込んで育てた医師がその後、社会に貢献していくことを考えると、年齢の問題は大きいのでは、とも思います。就職試験ともいえる医学部医学科の入試では、年齢制限というものが実質的にあり得るということは理解できます。

 さて、新任の柴山文科大臣の発表を最初に紹介しましたが、第4次安倍改造内閣が成立した10月2日の週は、ノーベル賞の受賞者が発表された週でした。日本ではノーベル賞ウィークとも呼ばれるかと思います。

 その週の土曜日(10月6日)に、ゲノム編集ツールの開発で成果を上げている東京大学大学院理学系研究科教授の濡木理さんの講演をセミナーでうかがう機会がありました。講演のタイトルは「立体構造に基づいたスーパーCas9の創出」でした。

 ゲノム編集ツールCRISPR/Cas9の発明は、近くノーベル化学賞を受賞することが確実視されている画期的な技術です。

 バイオテクノロジーと関係が深いので、日頃、重点取材しているテーマの1つです。

 10月2日に京都大学特別教授の本庶佑さんが、ノーベル生理学・医学賞を受賞することが発表されたこともあり、セミナーでは「日本人が引き続き、ノーベル賞を取り続けることができるような施策が重要では」との質問が、濡木さんに寄せられました。

 濡木さんは、柴山さんの政策に期待していると答えました。武蔵高校時代の同級生で、学年のトップ3を競っていた間柄とのことでした。

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