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 「在宅医療いつ始めるか? 今でしょ!」――。

 約2年前、2016年度診療報酬改定を受けて上記のタイトルで本コラムを執筆したところ、「表現が古い」と却下されてしまった。今回は2018年度診療・介護報酬同時改定を踏まえて本稿を執筆しているが、やはり同じタイトルをつけたい思いに駆られている。それほどに、在宅医療の提供実績が評価される改定内容となった。

 例えば、診療報酬の地域包括ケア病棟入院料では入院料が2区分から4区分になり、「地域包括ケアに関する実績」を満たす200床未満の病院のみ、180~200点高い入院料を算定できるようになった(関連記事:救急病院が勤務医による在宅医療を重視する理由)。地域包括ケアに関する実績とはすなわち、訪問診療や訪問看護、介護サービスなどの提供実績のことだ。

 外来医療の報酬である地域包括診療料・加算では、通院困難になった外来患者に訪問診療を提供し、診療を続けている実績がある場合、より高い点数を算定できるようになった。さらに、初診料および小児かかりつけ診療料の加算として機能強化加算(80点)が新設。機能強化加算の施設基準では、上述の地域包括診療料・加算や在宅医療の報酬である在宅時医学総合管理料在総管)・施設入居時等医学総合管理料施設総管)を届け出ていること(在総管・施設総管については在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院のみ)が要件とされた。

 在宅医療の提供実績がこれだけ評価された背景には、在宅医療を担う医療機関が思うように増えていない実態がある。24時間往診できる体制などを確保する在支診の届け出施設数の伸びは近年鈍化しており、2014年から2015年にかけては減少に転じた。在宅医療の普及を阻む要因として、たんぽぽクリニックなどを運営する医療法人ゆうの森(愛媛県松山市)理事長の永井康徳氏は、「在宅医療の制度の複雑さ」があると指摘する。

 確かに、在宅医療の報酬制度は素人目にも複雑だ。一つひとつの報酬で細かい定義などが異なっていることも分かりにくい要因だろう。いくつか例を挙げる。

 訪問診療において収入の柱となる在総管と施設総管は、患者の居住場所によって算定する報酬が異なる。戸建て住宅や集合住宅などでは在総管、有料老人ホームなどでは施設総管を算定する(表1)。点数は、おおむね在総管の方が高く設定されている。

表1 在総管・施設総管の算定対象者と算定要件
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