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 救護活動を担う救急隊員の働きといえば、「救急出動件数」や「現場到着所要時間」ばかりが取り上げられがちだ。しかし、彼らに十分な感染防止対策が取られていないことは意外と知られていない。先日、東京で開かれた日本環境感染学会で堺市立総合医療センター救命救急センター副センター長の森田正則氏の講演「病院前救護活動における感染対策標準化に向けて」を聞き、その思いを強くした。

 救急隊員は仕事柄、傷病者の血液や体液に曝露される機会が多い。一方で、不衛生な手指により媒介者にもなる。だが体系的な感染情報の把握・収集が行われていないため、正確な実態は明らかではない。そこで日本救急医学会の「救急外来部門における感染対策検討委員会」は全ての消防機関(消防本部)を対象にアンケートを行い、その結果を森田氏が発表した。

 主な結果は以下の図1の通り。半数以上の消防機関で感染防止対策マニュアルが未整備であったほか、やはり半数以上が感染制御に関する研修を行っていない実態が明らかになった。また、傷病者に接触する際の対策として、気管挿管時にゴーグルとサージカルマスクを両方とも装着している割合が4人に1人と低いことも分かった。

図1 救急隊員の感染防止対策の実態(n=663)

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