日経メディカルのロゴ画像

 先日、ある大学病院の医師に話を伺っていたときのこと。「薬局からは、例えばトレーシングレポートなどを通じてどのような報告を受けていますか」と尋ねたところ、「そういうものがあるらしいですね。ただ、私は今まで受け取ったことがないので、よく分からないんです」という言葉が返ってきて、愕然とした。

 トレーシングレポート(服薬情報提供書)とは、保険薬局で得られた患者情報のうち、疑義照会するほどの緊急性はないが伝えておいた方がよいと思われる情報を処方医に伝える文書のこと。医療機関と薬局の双方向でやり取りをする場合には「施設間情報連絡書」と呼ばれることもある。

 話を聞いた医師も、薬局からの疑義照会はもちろん受けていた。しかし疑義照会では、処方箋に直接は関係しない、患者にまつわる情報はほぼ入ってこない。「診察に時間をかけられないこともあるので、患者の薬局での様子や何を話していたかなを教えてくれると助かるのだけど」と言う。

 そうした情報提供は、トレーシングレポートのような形式でなくても、薬局薬剤師がお薬手帳に書き込んで患者を通じて処方医に見てもらうなど、色々と工夫の余地はある。が、医師はそのように薬局から働き掛けられた経験は一度もないという。病院のすぐ近くには幾つも薬局があり、密なやり取りができそうなのに……と、筆者は惜しい気持ちになった。

この記事を読んでいる人におすすめ