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 「かぜインフルエンザ抗生物質は効果的だ」。この一文に対し、多くの読者は「正しい」とは回答しないだろう。しかし、医療従事者ではない、一般の人々ではどうだろうか。

 国立国際医療研究センターは「国民の薬剤耐性に関する意識についての研究」を行い、今年5月に報告書を公開した(厚生労働科学研究成果データベース)。これは、2016年度の厚生労働科学研究「医療機関等における薬剤耐性菌の感染制御に関する研究」の分担研究で、国民を対象にした薬剤耐性(AMR)に関する初の意識調査だ。全24問のアンケートを実施し、3390人から回答を得た。

 そのアンケートの1つに、冒頭の設問がある。回答者は「正しい」「間違い」「分からない」の中から選択して答えるが、回答の割合はそれぞれ40.6%、24.6%、34.8%となり、かぜやインフルエンザに抗菌薬が効果的と考えている人は4割で最も多いことが明らかになった。この他、「抗生物質はウイルスをやっつける」については、46.8%が正しいと回答した。

 「自宅に抗生物質を保管している」人は11.7%存在し、その中でも「自宅に保管している抗生物質を、自分で使ったことがある」と回答した人は75.8%、「自宅に保管している抗生物質を、家族や友人にあげて使ったことがある」と回答した人は26.5%だった。

 一方、医師や薬剤師、新聞やテレビなどから「不必要に抗生物質を飲んではいけない」という情報を得た場合、「抗生物質が必要だと思うときには、必ず医師に相談するようになった」と44.5%の人が回答した。このことから報告書は「正しい知識を得ることで思考・行動変容につながることが示唆され、国民に向けた普及啓発による効果が期待される」とまとめている。

 国民のおよそ半数弱がAMRに関して誤った知識を持っており、また患者が自身の判断で抗菌薬を使用するケースが一定数あることが分かった。AMR対策として「抗微生物薬適正使用の手引き」が作成されるなど、医療従事者を対象にした啓発活動は積極的に行われている(関連記事)。同様に、国民に向けた啓発活動も必要と考えられるだろう。

一般・医療者双方向けの啓発サイトが始動
 では、「国民に向けた普及啓発」の具体例として、どのようなものがあるだろうか。国立国際医療研究センターのAMR臨床リファレンスセンターはAMR啓発サイト「かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~」を9月15日に公開した。2016年4月に政府がまとめたAMR対策アクションプランの一環として始められたもので、一般と医療従事者のそれぞれに向けてAMRについての基本的な情報を伝えている。

 同サイトの目玉の1つに、AMRに関するインフォグラフィックがある。インフォグラフィックとは、図解にひと工夫を加えることで、興味や関心の低い相手を振り向かせる表現方法のこと。公開されているインフォグラフィックのPDFは誰でもダウンロードすることができる。

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